2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14062
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
福田 奏子 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (20844799)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 盲児 / 視覚障害児 / 立体構成課題 / 課題順序性 / 量の保存課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、盲児が触運動感覚によって実施可能な立体構成課題を考案・開発し、その難易度を明らかにすることを目的としている。市販の積み木やパズル等の教材・教具は、視覚を通して課題達成を理解することを前提としたものが多く、盲児のために市販のものを改造したり、最初から開発したりする必要がある。私たちは、触運動感覚を通して課題理解がしやすい構成課題として、枠のある立体的構成課題(以下,枠入れ立体構成課題)を考案した。触運動感覚を通して操作しやすい教具の大きさについて検討した上で、枠入れ立体構成課題の課題達成率の分析および未達成課題の誤答時の行動観察を行い、課題順序性について予備的に検討した。そこで、今年度は、枠入れ立体構成課題の課題達成率の分析を、対象児と課題数を増やして実施した。さらに、量の保存課題について予備的に検討した。 触覚を主に活用して学習している盲児童・生徒計7名を対象とし、積木の組合せと提示順を実験要因として15課題実施した。課題達成率の分析を行った結果、同じ積木の組合せであっても、提示順によって達成率が異なり、大きい積木から入れる提示順より、小さい積木から入れる提示順の方が、達成率が低いという結果であった。量の保存課題については、盲児童・生徒計6名を対象とし、同じ量の積木が入る形の異なる枠を複数用意し、量の保存課題を行った。その結果、枠を触っただけで量の保存が理解できていた対象児は1名であった。他の5名については、実際に積木を入れて確認したところ、確認の途中で量の保存に気付いた対象児が2名、確認が終わってから気付いた対象児が3名であり、枠に入れる経験が量の保存の理解に影響することが推察された。今回の成果に基づいて、次年度以降、量の保存課題についてさらに対象児を増やし、実験を行う必要があると分かった点は意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
盲児が触運動感覚によって実施可能な枠入れ立体構成課題の課題順序性について、盲幼児児童を対象に実験を行い、昨年度の予備研究に示唆を加えることができた。また、量の保存課題を予備的に検討し、次年度以降の実験計画の基礎となる重要な知見を得た。さらに、課題順序性および量の保存課題について実験を行うだけでなく、盲幼児1名を対象として、枠入れ立体構成課題の指導実践を行うことができた。この結果については、枠入れ立体構成課題の順序性に関する研究の考察において、活用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、盲幼児児童における枠入れ立体構成課題の順序性に関する研究および量の保存課題に関する研究を、対象児を増やして実施する。国内の視覚特別支援学校の学校長宛に研究の説明および研究協力依頼を行い、盲児を対象に、枠入れ立体構成課題15課題および、量の保存課題を実施する。児童が取り組んでいる様子をビデオカメラで記録し、課題の成否、課題遂行時間および手の使い方について分析を行う。視覚特別支援学校への協力依頼は、4校程度に行う計画である。
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Causes of Carryover |
本年度、研究調査依頼校で、新型コロナウイルス感染症およびインフルエンザの流行のために、調査が次年度に延期となった学校が2校ある。そのため、県外特別支援学校における研究調査について、令和6年度にも実施し、予算を使用する予定である。
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