2021 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある女子高校生に対する学校適応ガイドブックの開発
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20K14064
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
三浦 巧也 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70735357)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発達障害 / 女子高校生 / 学校適応 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度に発達障害(その可能性)のある女子高校生の特徴を把握するために実施したアンケート調査の結果を日本特殊教育学会と日本障害学会にて発表した。 特に、発達障害の中核症状に起因する困難さが月経前の不快な気分におよぼす影響を検証した。高校3年生257名(男子120名、女子137名)、大学1・2生243名(男子138名、女子105名)、合計500名を調査対象者とした。分析の結果、女子高校生において、発達障害の中核症状に起因した困難さが高い場合、女子大学生や定型発達の女子高校生よりも、月経前に生じる不快な気分が強まることが示された。また、ASDの特性に起因した困難さが高いケースでは、ADHDの特性に起因した困難さが高いケースよりも、月経前に抑うつ・不安・緊張が強まることも示された。ASDの特性に起因した困難さが高い女子高校生は、感覚の過敏性が高いことが示されているため、不快な気分を感じやすい傾向にあることが推察された。今後は、発達障害(その可能性)のある女子高校生への支援の枠組みに、PMDDの時期やタイミングを踏まえて支援を行うことが重要であることが示唆された。そして、女性ホルモンの影響による精神症状の緩和を視野に入れた、障害種別ごとの新たな支援方法・技法が確立することが課題であることがあげられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、カウンセラー(臨床心理士)を対象とした支援方法に関するアンケートやインタビュー調査を実施予定であったが、コロナ禍であるため、うまく対象者からの同意をえることが難しかった。しかしながら、2022年3月に、アンケート調査の実施目途が立った。倫理審査にて承認された後、2022年5月には実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ASDの診断がある女子大学生を対象に対人関係の困難さについてインタビュー調査を行った結果を、日本心理臨床学会にて発表する。 加えて、発達障害の中核症状に起因する困難さが月経前の不快な気分におよぼす影響を検証したデータを論文化し、海外の学会誌に投稿する予定である。 また、2022年5月に実施予定のカウンセラー(臨床心理士)を対象とした支援方法に関するアンケート調査をまとめ、支援のあり方の視座を得る。そして、2022年12月に行われる発達障害支援システム学会研究大会にて発表を行う予定である。得られたデータをまとめてガイドブックを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、コロナ禍であったため、予定していたインタビュー調査およびアンケート調査の協力者を集めることが難しかった。そのため、人件費・謝金の支出が減った。加えて、学会の参加についてもオンラインでの開催であったそのため、旅費の支出が減った。そこで、2021年度と2022年度の助成金を合算して、当初計画していたアンケート調査について、項目数と対象者数を増やして実施することを計画している。加えて、データをまとめた論文について、当初、日本の学会誌に論文を投稿する予定だったが、海外の学会誌に投稿を変更するために、諸手続き等の費用に計上する。
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Research Products
(7 results)