2022 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある女子高校生に対する学校適応ガイドブックの開発
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20K14064
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
三浦 巧也 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70735357)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害 / 女子高校生 / 学校適応 / クラスベース / 支援方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害(その可能性)がある女子校高校生の実態について、高校生のASDやADHDの特性に起因した困難さが、共同作業に関する行動情緒を媒介として援助志向に及ぼす影響を明らかにすることを本研究の目的とした。調査の結果、高校生は、女子のほうが男子よりもASDの特性に起因した困難さを抱いていることが確認された。また、特に女子高校生は、ASDの困難さを強く抱く場合、共同的な作業や相手の話を積極的に聴く行動への意欲が低く、これらの他者との関係性への意思を媒介として援助志向への動機を下げてしまうことが示唆された。しかしながら、ASDの困難さがある女子高校生の社会的スキルが向上すれば、他者との関りを持ちたいという気持ちや行動を起こすための意欲に直接影響を与えるかは未確認である。もちろんASDの困難さへの直接的な支援も大事なことではある。一方で、ソーシャルサポートの中でも家族と友人からの評価的サポートがレジリエンスに及ぼす影響が大きかったことから、本人が周囲の人に認められる体験をすることが重要であると示唆されている(岩佐・酒井、2021)。そのため、周囲の生徒の援助志向性を高め、当該生徒の困難さを補う肯定的な関わり方をクラスベースで展開してくことによって、相互に深い学びを得ることに繋がり、男性よりも女性の方が内発的な症状を併発することが多い(Rujeedawa & Zaman,2022)当該生徒の生きる力を滋養することになると推察した。 次に上記の調査結果を踏まえ、臨床心理士が、発達障害のある女子高校生への心理的支援のあり方について、調査を行った。現在までに50名から回答を得た。自由記述の回答を、コレスポンデンス分析や主題分析等を使い、現在分析を進めている。分析結果を踏まえて、今後の当該生徒へのよりよい支援方法のあり方を生成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害(その可能性)がある女子高校生の実態について、調査研究やインタビューによって明らかとなった。分析結果を踏まえて、当該生徒へのよりよい支援のあり方について、臨床心理士を対象にアンケート調査を行った。分析方法を再検討し、より特徴的な支援方法が抽出できるように、試行錯誤を繰り返している。
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Strategy for Future Research Activity |
発達障害(その可能性)がある女子高校生に対する支援方法について、臨床心理士を対象に調査を実施した。分析方法を吟味し、支援の特徴が抽出できるように、様々な分析を行っていく。全ての分析結果をまとめて、支援ハンドブックを作成する。ハンドブックは現場の教員等に配布し、広くその有効性について聞き取り調査を行う。
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Causes of Carryover |
令和4年度に開催予定であった海外の学会が令和5年度に延期になったため、次年度(令和5年度)に研究成果を海外の学会で発表するため旅費と参加費として計上した。加えて、本研究の成果をまとめたハンドブックを冊子にすること令和4年度に印刷することが出来なかったため、次年度(令和5年度)に印刷費用として計上した。
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