2020 Fiscal Year Research-status Report
知的障害児の自己決定に関わる学習支援システムの構築
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20K14066
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
今枝 史雄 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70824118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知的障害 / 自己決定 / 学習支援 / システム構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害者の近年のキーワードである自己決定支援について、知的障害児の自己決定の課題に基づく学習プログラムの作成および有効性の検証を行い、これらの結果を基に、特別支援学校における自己決定に関わる問題解決能力の形成に向けた学習支援システムの構築を目的とした研究である。 令和2年度は研究1:特別支援学校に在籍する知的障害児の自己決定の実態に関わる調査研究における調査項目の選定を行った。調査項目はWehmeyer(1995)やAbery,et.al(2000)などの海外の自己決定尺度や我が国における先行研究を参考にするとともに、特別支援学校教員4名とも相談しながら、「その他」を含む12項目を設定した。12項目は①遊びに行く場所を決める、②買い物する場所を決める、③外食する場所を決める、④外食先でのメニューを決める、⑤遊ぶなど、一緒に何かする友だちを決める、⑥契約する携帯電話を決める、⑦仕事を決める、⑧生活する場所(住む場所)を決める、⑨病気で医者に行く時、どの医者に行くか決める、⑩毎月いくらお金を使うのか決める、⑪毎月いくらお金を貯めるのか決める、⑫その他、であった。また、調査方法についても、「いつも自分で決めてきた」「だいたい自分で決めてきた」「あまり自分で決めなかった」「他の人に決めてもらって、自分では決めなかった」「今まで自分で決める機会がなかった」の5つの選択肢を設定した。 令和3年度以降、知的障害特別支援学校に在籍する高等部3年生を中心に作成した調査項目を用いて調査を実施し、自己決定の実態に明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1は知的障害特別支援学校高等部に在籍する知的障害児に対して、自己決定に関わる調査項目を用いて半構造化面接等を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症が影響し実施が困難となった。また、知的障害のある生徒の特性やプライバシー保護の観点からもオンラインによる実施が困難なことが想定されたため、実施することができなかった。 現在、調査の実施方法や研究2以降の自己決定に関わる学習支援プログラムの実施方法も含めて特別支援学校教員と連携し、検討を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、知的障害特別支援学校高等部に在籍している生徒に対して、作成した自己決定に関わる調査項目12項目を用いて調査を行い、知的障害児における自己決定の実態を明らかにしていく。令和2年度は調査項目の作成にとどまったため、予備調査も含めて実施していく。 次に、調査結果を基に、知的障害児に対する自己決定に関わる学習支援プログラムを作成していく。先行研究では「携帯電話の契約」「住まいの場の選択」について取り上げられており、そうした先行研究を参考に、学習内容、学習方法を検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、旅費と人件費について大幅な変更が生じた。 旅費については、研究成果の報告を目的に各種学会への参加を予定していたものの、全てオンライン開催となったため、使用することがなかった。人件費については、特別支援学校に在籍している知的障害のある生徒への面接調査の研究協力費として支出を予定したものの、面接調査の実施が困難となったため、使用することがなかった。
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Research Products
(9 results)