2022 Fiscal Year Research-status Report
知的障害児の自己決定に関わる学習支援システムの構築
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20K14066
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
今枝 史雄 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70824118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知的障害 / 自己決定 / 学習支援 / システム構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害者の近年のキーワードである自己決定支援について、知的障害児の自己決定の課題に基づく学習プログラムの作成および有効性の検証を行い、これらの結果を基に、特別支援学校における自己決定に関わる問題解決能力の形成に向けた学習支援システムの構築を目的とした研究である。令和4年度は、研究2:知的障害者の自己決定に関わる学習プログラムの作成、研究3:知的障害児の自己決定に関わる学習プログラムの有効性の検証に取り組んだ。 研究2については、令和3年度に特別支援学校教員、社会福祉法人職員とともに作成したオンデマンド型オンライン教材をHP上で公開し、アンケート調査等を実施を通して、知的障害者の受講実態を明らかにした。内容は自己決定における選択肢の選択方法に関わるものであり、「説明編」「教材準備編」「練習編」の3編からなる。 また、研究3について、成人期知的障害者23名を対象に、将来の自己決定に関する講座を対面で実施した。テーマは「これまでとこれからのわたしたち」であり、知的障害者自身がコロナ禍における変化を整理し、今後の目標を決めるというものであった。講座は先行研究より作成した知的障害者の自己決定の選択プロセスに即して実施した。その結果、マトリックス表などのツールを使用することで、余暇、日常生活、対人関係等に関する現状と課題を整理し、他者の意見も取り入れながら、自らの今後の目標の立案が遂行可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に作成したオンデマンド型オンライン教材をHP上で、成人期知的障害者60名に向けて公開したところ、10名のアンケート結果が得られ、①受講状況、②内容の難易度等の状況が明らかになった。しかし、視聴した知的障害者は16.6%であり、多くの知的障害者は視聴しなかったため、自己決定・自己選択に関する教材の有効性を検証するまでには至らなかった。また、対面の学習講座を実施したものの、1回にとどまり、こちらも自己決定に関わる指導・支援方法の検証には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は成人期知的障害者を対象として、自己決定に関する学習支援講座を3回開講予定である(延べ75名参加予定)。学習支援講座の遂行状況を分析することで、知的障害特別支援学校高等部に対して、自己決定に関わる能力の向上を目標とした授業の実施を検討していく。
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Causes of Carryover |
成人期知的障害者を対象とする講座について、対面で実施する講座を2度予定していたが、1度の実施にとどまり、計画より旅費を使用することがなかった。また、人件費については、特別支援学校に在籍している知的障害のある生徒への面接調査の研究協力費として支出を予定したものの、面接調査の実施が困難となったため、使用することがなかった。
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Research Products
(3 results)