2023 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害児の自己決定に関わる学習支援システムの構築
Project/Area Number |
20K14066
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
今枝 史雄 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70824118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知的障害 / 自己決定 / 学習支援 / システム構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害者支援の近年のキーワードである自己決定支援について、知的障害者の自己決定の課題に基づく学習プログラムの作成および有効性の検証を行い、これらの結果を基に、特別支援学校における自己決定に関わる問題解決能力の形成に向けた学習支援システムの構築を目的とした研究である。2023年度は、研究2:知的障害者の自己決定に関わる学習プログラムの作成、研究3:知的障害者の自己決定に関わる学習プログラムの有効性の検証に取り組んだ。 研究2、研究3に関して、知的障害者延べ95名を対象に自己決定に関わる問題解決能力の形成に向けた学習講座を実施した。自己決定において、選択肢を構成する複数の条件の組み合わせを理解することが選択肢理解につながると言える。しかし、こうした行為は論理的操作を伴い、多くの知的障害者にとって、遂行困難が予想される。そこで、3つの学習講座では選択肢理解の支援として、集合の図を用いて、知的障害者が2つの条件を満たす場合(A∩B)、条件を2つとも満たさない場合などの条件の学習を試みた。結果、参加した知的障害者の6割以上が選択肢(対象物)の特徴を、集合図を使用して説明できたものの、比較的重度の知的障害のある受講生は正答率にバラつきが見られた。そのため、今後重度知的障害者の選択肢の理解方法について指導の手順を明らかにする必要がある。 また、知的障害児の自己決定の実態は、授業における選択機会の設定に関する調査を実施した。結果、授業において選択機会を実施している割合は65%であり、35%の授業は「選択機会はあるものの、選択できない状態にある」や「選択機会そのものがない」という状況であった。今回、知的障害児の自己決定のプロセスを検討をすることはできなかったものの、今後、知的障害児に関しては特別支援学校等において、まず自己決定・自己選択機会を設定することの重要性が示唆された。
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Research Products
(3 results)