2020 Fiscal Year Research-status Report
Life Course and QOL of Individuals With Intellectual Disabilities in Australia, Denmark and Japan: Comparative Perspectives.
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20K14073
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
立田 瑞穂 龍谷大学, 社会学部, 講師 (50826154)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知的障害 / ライフコース / Quality of life |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本、デンマーク、オーストラリアに住む知的障害者のQOLについて、個々のライフコースを辿ることで、個人のQOLがどのように特徴づけられるかを明らかににすることを目的としている。 2020年度は、研究初年度であり、日本を含む各国でのインタビュー調査の実施を予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大のため、特に海外での現地調査は困難となったため、知的障害者のライフコース、QOL評価に関する文献研究を中心に行った。知的障害のある子どもや若者、成人を対象としたQOL評価研究では、年齢の違いによらず、共通して重要だと考えられるQOL領域の存在が示されてきたが、障害の種類や度合い、ライフステージの変化等に応じて、QOL領域の重要度や測定指標が異なるという結果も示されてきた。 また、日本においては、本研究の調査に先行して、知的障害者への新型コロナウイルス感染拡大の影響について、20名程度の知的障害者本人とその親を対象に調査を行った。通所先や余暇における様々な制約の現状とその影響は個人差が大きかったが、健康や安全を優先するための個々の選択が、新たな健康上の課題や社会生活上の不利につながる状況があることが明らかとなった。対象者の現在の状況を理解することは、本研究においては重要な要素であり、本研究の今後の調査につながる有意義な調査ともなった。 これまでの成果としては、2020年度は「知的障害のある若者の人生に対する認識―ライフライン図を手がかりとして―」(日本特別ニーズ教育学会 第26回研究大会(オンライン開催))、「知的障害のある若者の親元からの独立についての語り:一人暮らしをしている若者と家族と暮らしている若者の相互作用を通して」(日本発達障害学会第55回研究大会(オンライン開催))の2件の学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、調査協力者へのインタビューを主な調査方法としている。上述したように、2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、国外での対面によるインタビュー調査が難しい状況となった。国内においては、感染対策を講じながら対面でのインタビューを開始したが、研究代表者の所属先の変更も重なり、本格的に調査を進めるには至らなかった。したがって、研究全体の進捗状況として「(4)遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、日本での調査を本格的に進めるほか、デンマーク、オーストラリアの知的障害者とその親を対象とした調査については、オンラインによるインタビュー調査の実施を検討している。調査目的に照らし合わせても、本来であれば対面でのインタビューが望ましいが、海外調査の先行きが見通せない状況であるため、調査協力者らと相談しながら、可能な手段を検討していく予定である。また、インタビュー調査の実施と合わせ、データの分析作業と論文執筆を進める。本研究の中間報告として、国際知的・発達障害学会(IASSIDD、7月)、日本発達障害学会等での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
海外での数回の調査、国際学会での発表(2回程度)を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、渡航が叶わなかった。国際学会についてはすべて実施が中止、国内学会はオンラインでの参加となった。日本での調査についても、感染拡大の動向を見ながら準備を進めてきたが、調査代表者の所属先の変更も重なり、調査開始が遅れた。以上が、次年度使用額が生じた主な理由である。翌年度(2021年度)の使用計画であるが、日本での調査のための交通費及び調査協力者への謝金、また海外渡航が可能になるまでの間、海外の調査協力者とのオンラインインタビューを円滑に行うための設備費用、インタビューデータの文字起こし作業の費用、英語論文執筆のための校正代などに使用する予定である。
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