2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本の大学におけるスタッフ・ディベロップメントの研修転移への介入に関する研究
Project/Area Number |
20K14085
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
竹中 喜一 近畿大学, IR・教育支援センター, 准教授 (80834100)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スタッフ・ディベロップメント / 研修転移 / 大学職員 / 大学教員 / 行動変容 / 業績向上 / 組織開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の大学教職員を対象とした研修(SD:Staff Development)が行動変容や業務改善といった研修転移につながる可能性を高めるための方法論について明らかにすることを目的とした。 本研究の成果としてまず挙げられるのは、大学職員を対象とした研修転移に関する質問紙調査の結果から、行動変容や業務改善の実態とそれらにつながる要因を示した点である。研修の結果として生じた行動変容には、業務への積極的・効率的な行動、他者や他組織の巻き込み等があり、業務改善については、業務効率化や研修内容に関する新規事業の実施等の効果があった。また、行動変容や業務改善には本人のモチベーション、自己効力感、研修内容の活用経験有無、上司や職務内容といったものも影響している可能性が示唆された。 もう1つ、研修転移を促進する要素を取り入れた研修を実践し評価を行った点も、本研究の成果として挙げられる。研究代表者らが企画した研修において、研修と転移先で同一の刺激と反応となるような内容(研修内容に関する職場の課題とその課題解決のアクションプラン策定、アクションプランに対する助言)を含めた。そして研修から数か月後に、受講者を対象に行動変容や職場の業務改善にどのように寄与したか、また、寄与しないのであれば何が課題かを示した。その結果、研修で取り扱った内容に関する学内での提案や情報発信、業務の関与度合いやパフォーマンスの向上などの行動変容や、研修内容に関する業務が組織的に推進されるようになる効果などが生じたことが明らかになった。 ただし、受講者の担当業務と研修内容に関連がないなど、受講者本人の業務内容や職場に起因する要因で行動変容や業務改善は生じにくくなることも明らかになった。受講者だけでなく受講者の職場を巻き込んだうえで研修転移を促進するための方法論の検討については、残された課題である。
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