2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K14096
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
加納 敬 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (10770224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 挿入操作 / モーショントラッキング / 運動解析 / 教育工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、重要な医療手技である挿入操作を定量的に評価し、正しい操作を見出すことで適正な操作を未熟者に伝え、指導することにある。手首に装着した運動センサによって「気管内吸引操作」の動作解析に知見を得た。 2020年度は、気管内吸引操作(以下、操作)の経験者と未経験者の右手に運動センサを装着し、操作時の3軸加速度を測定し、加速度波形の振幅が最も大きいY軸(手掌-手甲の上下方向)を解析した。操作は気管内吸引シミュレータに対して行い、シミュレータの右側から被験者の右手操作が観察できるように動画像を記録した。加速度波形と動画像の時間を同期させることで操作の作業フェイズを①準備、②挿入、③抜去、④片付に分離し、フェイズごとの作業時間を比較した。加速度は、姿勢変化を示す低域加速度とカテーテル挿入時の勢いを示す高域加速度に分離し、更に高域加速度信号に高速フーリエ変換(FFT)処理をすることで特定周波数帯域のパワーを抽出した。操作時の姿勢変化とパワーをフェイズごとに解析を試みた。シミュレータの気管分岐部に模擬の痰を設置し、操作前後で重量測定することで吸引量を把握した。経験者と未経験者を比較し、未経験者は吸引量が少なく、操作の準備時間と人工呼吸器を外している時間(以下、無呼吸時間)が長いことが確認された。操作の特徴として、準備時の姿勢変化率、挿入時のパワーに差が見られたことで、操作の指導法に改善の余地が大きいことがわかった。操作は一時的に人工呼吸器を外し、肺機能維持を目的に痰などの分泌物を取り除く必要があるため、短時間で正確な操作が必要である。経験者の適切な操作を運動センサの加速度データから解析し、その特徴を明らかにしたことで、指導法の改善点を抽出し、本研究は進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の研究進捗が遅れた理由として、新型コロナウィルス感染拡大の影響により対象を集めた実験が思うように行えなかったことが挙げられる。また、研究の進展及び成果を研究発表で公表できなかったのも同様である。ただし、これらについて原著論文として現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の方向性として大きな変更点はない。 2021年度では、動画像データを利用した特徴量の抽出と、適正な操作を手本とした教育への応用を進める予定である。動画像は対象の指や手甲、手首、上腕などにマーカーを設置し、操作を撮影する。matlabで作成したプログラムを使用し、マーカーを追跡することで、操作時のマーカー軌跡や角度など分析する。対象に設置するマーカーが陰にならずにmatlabで認識できるよう撮影システムを作成し、実験する予定である。また、2020年度に分析した結果を基に、適正な操作で出力される特徴量を未熟者に指導するために、運動センサの加速度波形をリアルタイムに表示するシステムを構築し、視認性を向上させることで、作業時間や吸引量など目標値に到達できるよう教育効果を高めるシステムを構築する予定である。さらに挿入操作の題材として「血管穿刺」に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度では、物品費として高画素高速カメラFASTCAMを申請予定だったが、動画像データを多方向から撮影、分析する必要があるため、GoProHERO9(2台)を次年度に申請予定である。旅費等については、予定していた学会の変更が生じたため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額と2021年度の予算使用計画として、物品費として動画撮影用カメラGoProHERO9(2台)、動作解析用ノートPCを計上する。旅費等については新型コロナウィルス感染拡大の影響を伺いながら検討する予定である。その他の項目について、英文校正及び論文掲載費として使用する予定である。
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