2023 Fiscal Year Research-status Report
応用行動分析に基づく学習者の行動変容を目的とした情報モラル教育の実践的研究
Project/Area Number |
20K14097
|
Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
酒井 郷平 常葉大学, 教育学部, 講師 (00824129)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 情報モラル教育 / 行動変容 / 教育方法 / 初等中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,本研究の目的であるトラブルリスクを回避する行動を促進することを目指す教育プログラムの開発のため,学校現場で子どもたちの情報モラルに関する行動改善を目指した教育手法の検討に重点を置き,研究を遂行した。 具体的には,中学校教員を対象とした質問紙調査を実施し,生徒の情報端末の過剰利用に対してどのような教育手法を用いているかについて明らかにし,子どもたちの情報端末の過剰利用の改善に向け,行動変容を促すための手法について,既存の行動変容アプローチを概観し,情報モラル教育への援用可能性を検討した。こうした研究の結果,現在の情報モラル教育においては,子どもたちの情報端末の過剰利用に対して,抑制的なアプローチが多く取られているものの,応用行動分析学,ナッジ,仕掛学などの視点を用いることで,子どもたちの自律を促しながら適切な行動を促すことが出来る可能性が示唆された。 また,SNSでの情報発信によるリスク回避を目的とした情報モラルの授業の開発を行い,中学生を対象とした実践を行った。その結果,問題行動の当事者としての自覚を促すことや法的知識を理解する手法を通して,他者に相談する行為の変容に関する効果が明らかとなった。 これらの成果から得られた知見を踏まえ,トラブルリスクを回避する行動を促進することを目指す教育プログラムの開発を行い,小学校高学年および中学校に対して,教育プログラムの効果検証に向けた実践と調査を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度から2022年度にかけて新型コロナウイルスの影響により,学校現場を対象とした調査や実践を行うことが難しく,当初の研究計画である効果検証の実践まで実施が出来なかった。この点については,研究期間の延期申請により,1年後ろ倒しにより遂行していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,教育プログラムの開発と効果検証のための実践を行う予定である。具体的に想定しているプログラムとしては,小学校5年生に対して,チャットコミュニケーションに関する行動変容を促す教育プログラムの実践を行い,中学1年生に対してネットの過剰利用に関する行動変容を促す教育プログラムの実践を行う予定である。 これらの実践の結果,得られた効果について調査報告書にまとめ,近隣の学校および自治体へ配布する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究計画が遅れていることから,教育プログラムの開発と実践および成果報告書の作成が行えていないことが理由として挙げられる。次年度使用額については,研究期間の延期に伴い,2024年度に研究を遂行するにあたり使用する予定である。
|