2020 Fiscal Year Research-status Report
学習者のコミュニケーション活動を取り入れた適応学習支援システムの提案
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20K14101
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
槇原 絵里奈 同志社大学, 理工学部, 助教 (90822875)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プログラミング教育 / 適応学習 / 行動分析 / ソフトウェア開発教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案するプログラミング行動の収集環境および教員・学生間、あるいはTA・学生間で行われる会話内容の調査を行った。プログラミング行動の収集環境は、WebエディタであるAceおよびフレームワークにFlaskを用いて、Webアプリケーションとして開発を行った。ツールではWebSSHを用いてサーバと通信を行う予定であったが、学内の環境においてエラーが生じたためFlaskを用いることとした。Aceエディタで取得したソースコードのテキストデータをサーバへ送信し、ソースコードを生成後、コンパイル・実行を行い、その結果を再びブラウザへ送付し表示する。ソースコードを送付する際に言語情報も伝えることで、各プログラミング言語に適したコンパイルを行う。従って、授業で扱われているC言語、Javaへの対応が可能である。現在は複数名が複数言語で同時に本システムを扱った際や、ボタンを連続で押下した際にエラーが生じるため、エラーの解決および通信時間を短縮する手法について検討している。 学生と教授者・TA間のコミュニケーション情報の取得に関して、本年度はCOVID-19の影響により、前期のJava演習は対面およびリアルタイム型のプログラミング演習が行われず、オンデマンドによる演習に変更となったため、質問内容の収集を試みた。具体的には、学生からの質問はTeamsのチャットのみとし、教員やTAにどのような質問が来たか収集を試みた。収集の結果、環境構築による質問が最も多かった。後期のC言語演習は対面で行われたが、学生間の密なコミュニケーションは推奨されなかったため、同様に質疑はTeamsを通して収集したが、環境構築による質問が多く、また質疑自体もやりとりの回数が少ない問題点が生じた。次年度以降は遠隔でも質問を用意とするシステムや支援について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べたとおり、学生間のコミュニケーション情報については取得が困難であったものの、プログラミング行動を収集するプログラミング環境については概ね予定通りに開発が進んでいる。また、集団に対するコミュニケーション情報の取得は困難であったが、従来予定していたC言語やJavaに加えScratchによるプログラミングも含め、個人やペアを対象にした会話情報や生体情報の取得、およびプログラミング行動との比較は実施することができ、国内会議において発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
従来のプログラミング演習のような、対面で学生同士の密なコミュニケーションの実施は今後数年は困難であると考える。従って、オンラインにおけるプログラミング演習を前提とし、かつコミュニケーションを促進するようなプログラミング環境の構築、機能の追加を検討する。従って、プログラミング行動収集ツールに関しては、エラーを修正し複数名が遠隔で同時に使えるように環境を整える。また、Webカメラを用いた視線情報の取得など、遠隔で取得可能なデータをまとめ、組み合わせる手法についても調査を進めたいと考える。 現在、学部2年生を対象にソースコードの編集履歴や表情など、オンラインで取得可能なプログラミング行動のログ取得実験について告知済みであり、複数名から参加希望の連絡をいただいた。学生との実験を通し、オンラインでのコミュニケーションの促進方法について考えていきたい。
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Causes of Carryover |
概要で述べたとおり、対面でのプログラミング演習が実施されなかった、あるいは実施されても密なコミュニケーションが推奨されなかったため、学生・TAの行動履歴を取得するためのLiDARの発注、機材準備を遅らせたことで次年度使用額が生じた。また、他大学におけるプログラミング演習の調査のための出張も、COVID-19のため不可能であった。加えて、本テーマに関わる内容で複数の学会へ参加したが、オンライン開催のため参加に関わる諸費用がほぼかからなかった。併せて、学生のプログラミング行動の取得実験に関しても小規模なものを複数回実施していたため、サーバ使用費に関しても無料枠で足り、以上より予定経費の殆どを次年度へ繰り越す必要がでた。次年度はオンラインを前提とし、遠隔におけるコミュニケーション情報の取得のための機材や、論文誌等への投稿費として使用したいと考える。
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Research Products
(4 results)