2020 Fiscal Year Research-status Report
教科教育の探究活動における主体的・対話的で深い学びを促すeポートフォリオの活用
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20K14104
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
時任 隼平 関西学院大学, 高等教育推進センター, 准教授 (20713134)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポートフォリオ / 教科教育 / 主体的・対話的で深い学び / 高等学校教育 / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)令和2年度の研究デザイン 研究初年度の令和2年度は,先行研究の整理と予備的調査を行った.具体的には,教科教育やポートフォリオ活用に関する先行研究をレビューすると共に,学校教育現場へのヒアリング調査を実施し,ポートフォリオに蓄積するデータの内容を検討するための情報収集を行った.文献調査等では,「教科教育における資質・能力の育成」及びそれを実現するための学校文化に着目し,関連する文献のレビューを行った. (2)ヒアリング調査 教科教育におけるポートフォリオ活用に向けて,「育成したい資質・能力」に関する調査を実施した.具体的には,高知県立山田高校や大阪府立箕面高校,私立A高校の教科担当者を対象としたヒアリング・インタビュー調査を実施した.教科は,英語,数学,理科,社会,国語を対象とした. (3)分析・考察 各教科で育成したい資質・能力について収集した質的データを分析し,資質・能力の特徴や高等学校特有の学校文化/教師文化の特徴について分析を行った.資質能力については,教師たちは知識・技術の習得以外にも教育目標を教科教育の中で設定しているものの,実際には大まかな評価による点数化をしており,一人ひとりの主体的・対話的で深い学びを評価することに困難を感じていることが明らかになった.また,そういった現状の背景には,高等学校ならではの学校文化/教師文化が影響していることが明らかになった.具体的には,学校内において受験に関する足並みをそろえる文化や,学年内で授業の進度や指導方法に関する足並みをそろえる文化の存在等が明らかとなった.研究成果については日本教育工学会2021年春季全国大会第38回大会にて,「教科教育におけるポートフォリオ活用に関する予備的調査」の発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響で出張による情報収集,ヒアリング調査に制限がかかったものの,オンライン等を活用して研究を進めることができた. 調査の結果,育成したい資質・能力については教科特有のもの,教科横断のものと整理することが可能であると判断できた.このことから,2年目からは具体的にポートフォリオに入力するデータの検討に入ることができると考え,(2)おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
教科において,具体的にポートフォリオの仮活用を行う.研究2年目は教科を英語に限定し,高知県の公立高校及び私立A高校の英語科において,実際にポートフォリオに特定の項目に関するデータを蓄積していくことでその蓄積方法や内容について検証を行う.また,私立A高校においては総合的な探究の時間を活用し,ポートフォリオ活用に関する調査を実施する.
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウイルスの影響で出張による情報収集及びヒアリング調査を実施することができなかった.このことにより執行することができなかった出張旅費及び収集した質的データの書き起こし代金等を令和3年度に持ち越し,利用する.利用用途は変わらないが,現状では令和2年度に続き出張が困難な状況のため,オンラインでのインタビュー調査に切り替える学校を増やし,研究計画に支障がないよう工夫をする.
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Research Products
(1 results)