2022 Fiscal Year Research-status Report
科学技術(MR)と防災教育のフュージョンで実現化する体験型防災訓練システムの開発
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20K14108
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
大和 裕也 福井工業高等専門学校, 環境都市工学科, 講師 (70831220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 可視化ツール / 防災教育 / 体験型防災訓練 / グループディスカッション |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,MRを用いた体験型防災訓練の効果を明らかにするため,福井県内の小学校を対象として防災訓練を実施した.ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用い,防災訓練のシミュレータを開発し児童がグループで話し合いながら避難路や煙からの回避方法など火災時における避難行動を検討させ,グループ学習の効果を検証した. まず,体験型防災訓練のシミュレータの開発を行った.シミュレートに必要な,小学校全体の3Dモデルを作成した.次に,シミュレーションを行うためのカメラワーク,煙の流れを視認するためのシステム開発を行い,HMDへの移行を行った.3Dモデルの作成はSketchUp,システム開発は汎用ゲームエンジンであるUnity 3D,視線やジェスチャー操作,物体を空間上に配置する機能配置ソフトはMixed Reality Toolkitを用いた.次に,児童を対象としてグループ学習の有効性の検証を行った.仮想空間での体験型防災訓練を実施し,危険性が高い教室や部屋がある場合の回避方法をグループで話し合いながら避難行動を確認させた.また,部分的に煙を発生,その区間は体勢を低くさせ,火災時における避難行動を身に着けさせるようにした. 本研究の結果として,実際にゲーム感覚で操作することによりモチベーションを高く持ち,能動的に行動できたと考える.さらに,グループ学習を行うことにより,メンバー間で知識のインプット・アウトプットがあった.これより,グループ学習では能動的な活動が期待できると考える.また,大きな負担もなく避難行動についての理解を深めることができることが分かった.その結果を一部に含む論文が国際誌に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗状況として,「やや遅れている」と考える.その理由として,研究の目的に対して,新型コロナウイルス感染拡大の影響によりジェスチャー操作による消火訓練の実施検証ができていないためである. 【研究の目的】 国は新時代の学びを支えるための科学技術を用いた教育方針を示している.その中で,本研究は,児童に対するMRの防災教育への有効性を明らかにするため,科学技術(MR)と防災教育のフュージョン(融合)で実現化する体験型防災訓練システムの開発を目的として,以下の3つを検証する.①MRを用いグループで話し合いながら避難路や煙からの回避方法など火災時における避難行動を検討させ,グループ学習の効果を検証する.②MRを用いジェスチャー操作による消火訓練を体験させ,訓練の効果を検証する.③自主学習の促進を図るため,自主学習が可能な環境を提供し,促進効果を検証する. 【2022年度の進捗状況】 消火訓練を行うためのMRの開発やアンケート調査票の作成は完了している.2022年度中は体験型防災訓練までの実施にとどまり,消火訓練までは実施ができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り,研究を遂行する.2023年度は新型コロナウイルスの影響も少ないと考えられるため,まだ実施できていないジェスチャー操作による消火訓練を小学校で実施検証する.火災のシチュエーションのための3Dモデルの作成,児童にジェスチャー体験させるための火災の状況や消火器など必要な3Dモデルはおおよそ完成している.システム開発に必要である3Dモデル作成はSketchUp,動作環境として汎用ゲームエンジンであるUnity3D,視線やジェスチャー操作,物体を空間上に配置する機能配置ソフトはMixed Reality Toolkitを用いる.調査の内容は,グループ学習とジェスチャー操作による消火訓練,防災への興味に関する質問を行い,分析方法は評点式によるSD法を考えている.また,2022年度に実施した体験型防災訓練システムのシミュレータは,児童に対する操作方法の説明に時間を要してしまったため,簡易的に操作できるようなシステムの開発を行う.
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Causes of Carryover |
2022年度に体験型防災訓練までは実施できたが,消火訓練は新型コロナウイルスの影響により実施できなかった.2023年度はジェスチャー操作による消火訓練を実施予定である.補助学生が児童の動きを把握するためのノートPCの購入,Wi-Fiルーターのレンタル,補助学生への謝金が必要である.また,得られた研究成果を広く公表するため,国際会議発表のための旅費,発表登録費,論文投稿料が必要である.
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Research Products
(1 results)