2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of vicarious guilt on the witnesses' helping behavior toward ostracized persons
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20K14139
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
津村 健太 帝京大学, 理工学部, 講師 (10804396)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的排斥 / 罪悪感 / 目撃者 / 援助行動 / 仲間はずれ / 無視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会的排斥(無視や仲間はずれなど)の目撃者が、自身による侵害行為でないにも関わらず罪悪感を抱くことで、被排斥者に対して援助行動を取るようになるのか、検討することを目的としている。2020年度は、排斥場面を目撃することによって罪悪感を抱くのか検討した。 当初の計画では実験室での実験実施を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により実施が困難となったため、インターネットリサーチ会社を利用し、シナリオ実験を実施した。実験1では、友人との会話で、あとから来た人物の発言が無視され会話に参加できなかった場面、もしくは、あとから来た人物も会話に参加できた場面のいずれかを提示し、その場面に遭遇した際の心理反応を想像してもらった。その結果、予測通り、発言を無視された場面を目撃した者の方が、罪悪感を抱く程度が高かった。 実験2では、シナリオの内容を一部変更した。具体的には、「あとから来た人物は会話に参加できなかった」という結末は統一し、当該人物の発言が無視され会話に参加できなかった、もしくは、発言は無視されなかったが会話に参加できなかった場面のいずれかを提示した。実験2でも、予測通り、発言を無視された場面を目撃した者の方が、罪悪感を抱く程度が高かった。以上の一連の実験により、社会的排斥を目撃すると罪悪感を抱くようになる可能性が示されたと考えられる。 加えて実験2では、排斥場面の目撃者が被排斥者に対して援助行動を取ろうとするのか、予備的に検討した。その結果、消極的な援助行動(例:視線を送る)の意図については条件間で差が見られなかったものの、「その場ですぐに話しかける」という積極的な援助行動の意図において、当該人物の発言が無視された場合の方が高いという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に検討する計画であった仮説(社会的排斥を目撃すると罪悪感を抱く)について、インターネットリサーチを用いたシナリオ実験により、仮説を支持するような結果が得られた。また、2021年度以降に検討予定の仮説(社会的排斥を目撃すると被排斥者を援助する)についても、予備的な検討ができた。ただし、当初に予定していた実験室での実験ができておらず、2021年度以降の実施が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、社会的排斥を目撃すると被排斥者を援助するのか、検討していく。新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、可能であれば実験室実験による仮説検証を行う。実験室実験の実施が困難な場合には、インターネットリサーチ会社を用いた実験や調査を行う。また、罪悪感により援助行動が引き起こされているのか、媒介効果の分析等を行う。2020年度の研究成果について研究発表ができていないため、国内学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額は大きなものではなく、おおむね想定通りの研究費の執行となった。次年度使用額については、調査・実験実施費用の一部として使用する予定である。
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