2020 Fiscal Year Research-status Report
外集団脅威とコストに応じて切り替わる内集団ひいきの心理メカニズム
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20K14146
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
中川 裕美 大阪体育大学, 体育学部, 助手 (70848853)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内集団ひいき / 集団同一視 / 互恵性 / 外集団脅威 / 協力のコスト |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の実在する社会集団の中から外集団脅威を経験しやすい脅威集団と経験しにくい非脅威集団を選出する調査を行った。2021年度には、外集団脅威を知覚するほど集団同一視が強くなり、互恵生を期待しない一方的な内集団ひいき行動が促進されるかを検討する場面想定法実験を行う。2020年11月から12月にかけて大学生を対象にWeb調査を行った。参加者が所属する集団の中で普段積極的に関わっている集団を2つ挙げるよう求め、それぞれの集団に対して集団同一視、相互依存の認知、外集団脅威、外集団嫌悪を測定した。その中で先行研究 (中川・横田・中西, 2015, 2019) で対象とした野球チームのファン集団の同一視、相互依存の認知、外集団脅威の程度と類似した脅威/非脅威集団を選出した。調査の結果、脅威集団には「国」「音楽 (アイドル) ファン」「部活・サークル」、非脅威集団には「大学」が選定された。しかし、参加者が任意の集団を自由回答する形式であったため、この調査では各集団 (国、音楽ファン、部活・サークル、大学) で十分な回答数が得られなかった。つまり、各集団成員が外集団脅威を十分に高く/低く知覚しているかと新たに作成した外集団脅威尺度の妥当性を検討することが困難であった。したがって、2021年初旬には、選定した脅威集団と非脅威集団を対象にして集団同一視、相互依存の認知、外集団脅威の程度を再度測定する予定である。この調査によって脅威/非脅威集団の対象を確定させるとともに尺度の妥当性を担保し、2021年度中旬までに内集団ひいきを検討する場面想定法実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は対面で調査を行う予定であったが、社会情勢を鑑みて非対面での実施に改変した。それにともなって倫理申請書を再度提出・審査依頼をする必要があったことと、Web調査における回答数が十分に集まらなかったことから追加調査が必要となったことが理由として挙げられる。また、予備調査であるため、本年度の結果のみでは学会発表や論文などの研究成果として公開することが困難であった。しかしながら、2つの研究会では成果報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度初旬には、2020年度に行った調査結果をもとに追加調査を同大学で行う予定である。当初計画よりやや遅れてはいるものの、実在集団の選定自体は完了している。追加調査は、選定した集団の外集団脅威の程度の再確認と尺度の妥当性を担保するために行うものである。調査項目自体は同様であるため、調査の実施は早急に行うことが可能である。
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Causes of Carryover |
未使用額はほぼ生じていないが、残額は消耗品費用として翌年使用する。
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Research Products
(2 results)