2021 Fiscal Year Research-status Report
外集団脅威とコストに応じて切り替わる内集団ひいきの心理メカニズム
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20K14146
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
中川 裕美 東北福祉大学, 総合福祉学部, 助教 (70848853)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内集団ひいき / 外集団脅威 / 社会集団 / 集団同一視 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で大学生を対象に、内集団ひいきを検討する社会集団を決定するために予備調査を2つ行ってきた。しかし、外集団脅威の程度を測定する尺度を検討したり、対象の集団を選定するための十分なデータが収集できなかった (中川, 2022)。そのため、2021年度はクラウドソーシング会社を利用して一般人を対象とした大規模なWeb調査 (約1000名程度) を行った。大学生を対象とした予備調査では、脅威集団に「国」、非脅威集団に「音楽 (アイドル) ファン」「部活・サークル」「大学」が選定されていた。その結果を踏まえつつ、一般人にも同様の予備調査を2つ実施した。予備調査1の結果から、脅威集団として「性別」「国」「会社」「スポーツファン」、非脅威集団には「年代」「趣味のサークル」「スポーツサークル」「音楽・芸能ファン」を選定した。続く予備調査2では、それぞれの集団に対する集団同一視、相互依存の認知、外集団嫌悪、外集団脅威を測定した。その結果、集団同一視と相互依存性の程度は両方の集団で大きな差が見られなかったが、脅威集団の方が非脅威集団よりも外集団嫌悪、外集団脅威の得点が全体的に高いことが明らかになった。また、外集団脅威尺度の内的妥当性は高く、概ねどの集団でも外集団脅威は「競争的な状況認知と現実的脅威」、「象徴的脅威 (価値観の脅威)」という2つの下位尺度から構成されることが明らかになった。さらに、互恵性を期待しない一方的な内集団ひいき行動に関わる集団同一視と外集団脅威の相関分析を行った結果、脅威集団の「会社」に弱い正相関、非脅威集団の「趣味のサークル」に弱い負相関が見られた。以上の結果を踏まえ、集団の対象を決定し、2021年度に実施する予定であった内集団ひいきを検討する場面想定法実験を早急に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大学生を対象とした2つの予備調査は完了したが、分析に必要な回答数が確保できず、その後の研究で対象とする集団を選定することが困難であった。そのため、クラウドソーシング会社を利用して対象を一般人に変更し、再度、必要な回答数まで収集することとした。同様の調査を実施するために、異動した所属先にて新たな倫理申請書類を作成し、審査に時間を要したため、当初予定よりも遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年6月末までに2つの予備調査の結果から脅威集団と非脅威集団を決定し、場面想定法実験を実施するための倫理申請を行う。予備調査と同様にクラウドソーシング会社を利用して同年7月には調査を実施する予定である。当初計画よりは遅れてはいるものの、対象とする集団を選定するためのデータ分析は完了しているため、早急に新たな調査を実施することが可能である。その結果を踏まえて、最終年度の行動実験を実施するか、延長申請を行うかを決定する。
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Causes of Carryover |
前年度に未実施であった場面想定法実験を行う際の謝礼として使用する。 翌年度分として請求した助成金は、翌年度の実験計画にそって使用する。
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Research Products
(4 results)