2022 Fiscal Year Annual Research Report
リスク下の意思決定における「価値」の収束をもたらす個人間過程の解明
Project/Area Number |
20K14150
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
村田 藍子 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 研究主任 (70783728)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 対人インタラクション / 感情 / 自律神経反応 / 生理的同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
人々の感情は、ポジティブな出来事やネガティブな出来事などの外的要因や、ホルモンの変化などの内的条件に影響されるだけでなく、周囲の人の感情からも影響を受ける。本研究では、人の感情・認知・行動が他者とのインタラクションによってどのように変化するのか、またその相互関係を調べる実験を行った。具体的には、ペアで協力して、崩壊リスクのあるブロックタワーから、崩さないようにブロックを一つずつ抜くゲームを行っているときの、自律神経反応、認知、行動の変化を計測する実験を行った。分析の結果、ゲーム中の自律神経反応がペアの間で同期すること、また、ペアの間の自律神経反応の同期が高いほどブロックを抜くときの主観的な興奮が高まることを発見し、その成果を国際会議(Murata et al., CogSci2020)、国際学術誌(Murata et al., Scientific Report, 2021)で発表した。また、この知見を含めて、対人インタラクションと感情の研究について、国内学会や複数のシンポジウムにて招待講演を行った。さらに、ペアでリスクを共有する協力ブロックゲームを用いて、実際にゲームをプレイしている当事者の感情反応や感情同期が、それを観察している傍観者の感情反応や認知に与える影響を調べる実験を実施し、当事者間を超えた感情の社会的過程に関する知見をまとめ、国際学術誌へ投稿準備中である。また、感情同期と集団のパフォーマンスの関連性に関する研究成果を国際会議(Murata et al., CogSci2023, accepted)で発表予定である。
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