2023 Fiscal Year Annual Research Report
心的状態帰属の潜在的・顕在的プロセスと発達モデルの構築
Project/Area Number |
20K14155
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
古見 文一 静岡大学, 教育学部, 講師 (70771848)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心の理解 / 発達 / エージェンシー / ロボット / 表情認知 / マスク / COVID-19 / 色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,人が様々な対象に心を感じるようになる発達プロセスを明らかにすることであった。 最終年度の2023年度も国内の研究協力者(同志社大学 板倉昭二教授,立命館大学 森田磨里絵研究員,畿央大学 西尾祐美子講師,同志社大学 山口将典研究員)と連携して研究を行った。 第一に,マスクを着用した他者の表情を幼児が理解できるかについての論文が5月に国際誌に掲載された。この知見を踏まえ,着用しているマスクの色が,着用者の感情の強さを読み取る際に影響を及ぼすかについての研究を,成人と幼児を対象に実施した。その結果,成人では相手が着用しているマスクの色が感情の強さの読み取りに影響を及ぼしていたが,幼児ではほとんど影響がみられなかった。この研究結果については,国際誌に投稿中である。 第二に,ヒトに近いヒューマノイドロボットと,シンプルな外見のコミュニケーションロボットの2種類のロボットのそれぞれに,どのような心的状態を帰属するかを調べた研究について,2021年度に実施した成人を対象とした調査と2022年度に実施した幼児を対象とした調査の結果を総合的に分析した。その結果,成人では,ヒューマノイドロボットよりもコミュニケーションロボットの方が人間のポジティブな側面に関しての心理的特徴を多く持ち,ヒューマノイドはネガティブな側面に関しての心理的特徴を多く持つと評価されることや,ロボットが動くと,どちらのロボットも人間の持つポジティブな心理的側面についての印象がより多く評価されることが明らかとなった。幼児もヒューマノイドよりもコミュニケションロボットの方がポジティブな印象を評価していたが,ロボットが動いたとしても,ほとんど心理的側面に関しての評価には影響せず,ごく単純なアニミズム的側面の評価にのみ影響を及ぼすことが示された。本研究については,国際誌に投稿し,現在査読中である。
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