2020 Fiscal Year Research-status Report
幼児・児童の知識統合の発達―他者との相互作用を通じた問題解決方略の変化―
Project/Area Number |
20K14156
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橘 春菜 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 特任准教授 (10727902)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知識統合 / 発達 / 幼児・児童 / 相互作用 / 問題解決方略 |
Outline of Annual Research Achievements |
教育実践において子どもが協同で学びを深めるための工夫が一層に求められている。本研究では、子どもが他者との関わりを通じて、ある現象について複数の知識を関連づけて包括的に説明するようになる知識統合の発達的変化を検討する。具体的には、幼児期から児童期中期の子どもを対象に、他者との相互作用を通じた問題解決方略の変容過程とその安定性について、(1)ペア実験を通じた年齢に伴う知識統合の質的変化、(2)知識の活用に関する表現の縦断的変化の2つの観点から知識統合の発達的変化を検討する。 本年度は、幼児・児童の知識統合の質的変化を捉えるための実験の実施準備を進めた。まず、実験に用いる課題を設定するため、理科・算数科領域の対象概念について、関連教科の教科書における学習内容を分析するとともに、文献検討を行った。各発達時期において多様な知識の想起、関連づけ、包括化といった知識構造の変化が想定される課題を複数種類検討した。これらに基づき、本実験における課題内容および発問方法を精査することを目的として、実験課題の刺激作成を含めた予備実験の準備を進めた。予備実験は次年度に実施予定である。 また、本研究では、当初は協力校及び協力園における対面でのペア実験及びインタビューを予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大の状況が継続しているため、研究の実施方法について、オンラインを用いた方法も加えて再検討し、準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、本年度は協力校及び協力園における予備実験の実施を予定していた。しかしながら、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、保育・教育現場で研究協力を得ることが難しい状況となり、予備実験を実施できなかった。一方で、幼児・児童の知識統合の発達的変化を検討するための課題設定等、実験準備は進めることができた。以上から、進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も保育・教育現場で幼児・児童を対象とした対面での協同課題の実験を組織することが難しい状況が継続する可能性がある。そのため、オンラインを用いた実験、調査方法を検討する。次年度以降、予備実験の実施、分析を進め、研究成果をまとめて学会で発表する。また、予備実験の結果に基づき、本実験の課題内容と発問方法を設定し、実施するとともに、個々の発話や作品を通じた問題解決方略の分析を行う。これらを通じて、幼児・児童の知識統合の発達的変化について知見を蓄積する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、研究の実施方法とそれに対応する使用機器等の決定が遅れたこと、旅費の支出がなくなったこと等により、次年度使用が生じた。次年度にオンラインを用いた実験で使用する物品を購入する予定である。
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