2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Changing Process of Child Implications and Adaptation to Parents' Expectations: An International Comparative Study Using Mixed Research Methods
Project/Area Number |
20K14163
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
春日 秀朗 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70760239)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 親からの期待 / 親子関係 / 家族心理学 / 青年心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子が、親からの期待に応えないという行動(期待回避行動)を主体的に選択し、肯定的に意味づけるプロセスの検討を主目的とした。青年期後期に、親の期待と自身の希望の間で主体的に行動することは重要であるが、それは容易ではなく、また後々にその選択を悔いることもある。本研究は「青年が期待回避行動を主体的に選択し、肯定的に意味づけるようになるために必要なものは何か」の問いに立脚し、①期待回避行動とその意味づけの変容、②期待回避行動の意味づけに影響を与える要因とその程度の同定、③期待回避行動とその意味づけに文化が与える影響の検討、の3つの課題に取り組んだ。 最終年度では、親の期待認知・期待に対する反応様式・キャリア選択における主体性およびそれらと現在の精神的健康について、日米の大学生を対象に比較検討し、比較によって日本の大学生の特徴を明確にすることを目的とした。その結果、日本の大学生はアメリカの大学生に比べ、期待認知の強さは低く親子関係も情緒的である一方で、キャリア選択における主体性および精神的健康が低い傾向が見られた。 最終年度以前も含めた研究全体を通して明らかになったのは、期待に対する行動を肯定的にとらえるために重要な要因は、自身のキャリアを主体的に決定できたという感覚、および決定に対する親からの承認であるということである。親の期待が自身の意志と異なっていた時の選択を自分自身で行えたという感覚があれば、それが期待に対して受容的であっても否定的であっても、肯定的に受け止められる傾向にある。また全体的な親子関係認知が肯定的なものであったとしても、キャリア決定の際に自身の意志を親が理解し尊重してくれたという感覚がない場合、たとえ自身の努力の成果が好ましいものであっても、現在の評価は低くなる。期待に対する問題を考える際には、行動選択の際の意志・主体性の所在に注意することが重要である。
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