2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症者におけるユーモアを用いた情動調整とその支援に関する研究
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20K14165
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
永瀬 開 山口県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (70784495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / ユーモア / 情動調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自閉症スペクトラム障害者における状態像とユーモアを用いた情動調整との関連について明らかにすることを目的とした。 令和3年度は典型発達者を対象とした調査研究に関する研究成果の誌上発表及び、学会発表を行った。前年度までで明らかになった1)個人の有する自閉スペクトラム症傾向の強さとユーモアを用いた情動調整方略の使用の困難さとの間に明確な関連はないこと、2)ユーモアを用いた情動調整は自閉スペクトラム症を特徴付ける社会的コミュニケーションと興味の限局と反復行動の交互作用の影響を受けていること、3)特に、自閉スペクトラム症傾向のうちの「社会的コミュニケーション」と「興味の限局と反復行動の強さ」が、ユーモアを用いた情動調整の使用の影響を与えていること、の3点について日本心理学会第85回大会で発表するとともに、これらをまとめた論文がHumor: International Journal of Humor Researchに掲載予定された(Nagase, 2022)。 また令和3年度は、典型発達者における自閉症スペクトラム傾向と認知的情動調整方略の使用との関連について検討を行い、学会発表を行った。この検討の結果、1)自閉症スペクトラム傾向が強いほど、positive reappraisalやpositive refocusingといった適応的な情動調整方略を使用しないこと、2)自閉症スペクトラム傾向が強いほど、rumination or focusing on thoughtsやcatastrophizingといった不適応的な情動調整方略を使用することが明らかになった。この結果について、the British Psychology Society Developmental Section Annual Conference 2022において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度では、令和2年度に実施予定であった典型発達者を対象に心理学実験の手法によってユーモアを用いた情動調整に関する検討を行う予定であったが、コロナウィルスの流行が収束しないことに加え、対象者が十分に確保できないこと等により十分に実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は感染症防止対策を講じつつ対面での心理学実験の実施を検討しながらも、同時にオンライン上での実験実施についても検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの流行により、予定していた国際学会、国内学会もオンラインでの開催になり、旅費として計上していた予算を執行することができなかったため次年度使用額が生じた。次年度はこれまでの研究成果の公表を行うため、その英文校正の費用や次年度行う心理学実験の謝金として用いる予定である。
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Research Products
(4 results)