2020 Fiscal Year Research-status Report
大学生の就職活動における自己調整サイクル構築についての心理学的研究
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20K14168
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
小菅 清香 学習院大学, 文学部, 助教 (70823855)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己調整 / 目標 / 情報探索戦略 / 就職活動 / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では就職活動におけるPDCAサイクルを構築する要因(「目標設定」「情報探索戦略の計画・実行」「振り返り」)を精緻にし、就職活動に困難さをもつ学生がどこでつまずいているかを明らかにすることで、そうした学生への介入方法の提案に資する知見の提供を目的とした。そこで2020年度には、これまでに得られたデータを用いて「目標設定」「情報探索戦略の計画・実行」「振り返り」についての分析・検討を行った。 「目標設定」に関しては、なりたい職業についての将来目標と、その実現のための行動目標が設定され、いずれの目標も「情報探索戦略の計画・実行」に影響することが明らかになった。具体的には、先行研究で内定を得られるとされる焦点型戦略と探索型戦略は行動目標の設定により使用が促されていたが、内定を得られないとされる場当たり型戦略は行動目標とは無関連であった。この内容をまとめた論文は「キャリア教育研究」に掲載された。 また上記の「目標設定」は、①本人の内定獲得状況と外的な採用状況、②就職活動の「振り返り」に影響を受けることが示された。①については、2020年の日本キャリア教育学会大会で研究発表を行った。②については、選考の成果と全体計画のいずれもの「振り返り」のできなさが行動目標の設定を阻害するとの結果が得られ、現在論文としてまとめている。 以上から、就職活動の困難さは、行動目標の設定ができなかったり、設定しても効果的な探索上の戦略と結びつけられなかったりするために起こる可能性が示唆された。そこで就職活動におけるPDCAサイクルの中でも、とりわけ行動目標の設定に至る過程を検討することは重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
就職活動におけるPDCAサイクルを構築する要因については、これまでに得られたデータを検討し直すことで尺度を作成・精緻化することができた。 ただし本課題で目指すPDCAサイクル、特に行動目標設定に至る過程部分の解明については、当初は参加協力者へ対面でインタビューを実施することを予定していた。しかしながら、新型コロナウィルス感染症拡大の影響によって、当該形態での実施が困難となり、インタビュー調査の開始を延期せざるを得ない状況が一定期間継続している。 今後この難局を打開すべく、オンラインでのインタビュー調査やWeb調査などの方法を用い、可能な限り早くインタビュー調査の実施に取りかかる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、就職活動を行っている/行った学生を対象として、就職活動におけるPDCAサイクルのうち、行動目標設定に至る過程についてのデータを収集することが一番の課題である。 具体的には、調査協力者に依頼して、オンラインでのインタビュー調査等により回答を得る方法と、記述型のデータを収集する方法との2種類が考えられる。両者を併用することで、非対面の形態でも調査協力者の負担を少なくするよう工夫を行う計画である。
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Causes of Carryover |
本課題が解明を目指す就職活動におけるPDCAサイクル検討のためのインタビュー調査が、新型コロナウィルス感染症拡大の影響のため延期を余儀なくされた。また国際学会が中止になるなど、直接経費の使用が困難であった事情で、次年度使用額が生じている。 そのため同額については、インタビュー調査実施やWeb調査実施に伴う費用として、翌年度請求分の助成金と合わせて使用予定である。
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