2022 Fiscal Year Research-status Report
加齢にともなう「うっかり忘れ」の変化の実態調査と認知機能との関連および機序の解明
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20K14174
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
都賀 美有紀 関西学院大学, 工学部, 助教 (90774050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | うっかり忘れ / 記憶エラー / 記憶愁訴 / 加齢の影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は2021年度に改良し実施したうっかり忘れの尺度のデータの追加分析を行ない,それらの結果について学会で発表した.この分析によって次の点が明らかになった. 若年者から高齢者まで800名(若年者(18-29歳),中年者1(30-49歳).中年者2(50-64歳).高齢者(65歳以上)の4年代を各200名)を対象に行なったアンケートによる調査結果について,探索的因子分析で抽出された「段取り忘れ」「知識忘れ」「目的忘れ」「後回しによるし忘れ」の4つの因子構造について,一定の適合度を有することを確認的因子分析で確認した. 下位尺度得点の分析から,加齢にともない段取り忘れは減り,知識忘れが増えることが示された.別項目として収集した自身の全体としてのうっかり忘れの程度を問う質問では年齢差は示されなかったことから,うっかり忘れの頻度については複数の質問紙を用いて測ることがより妥当と示唆される. また,加齢にともない「年齢のため」という理由づけが増えた.このことは,知識忘れの増加を反映していると考えられる.段取り忘れに関わると考えられる展望的記憶課題では加齢にともない内容想起の成績が低下する(梅田.2000)が,本研究では段取り忘れは全体的に少ないものの若年者が中年者2と高齢者よりも多かった.若年者は「忙しさのため」という理由づけが他群よりも多かったことから,段取り忘れの結果はライフスタイルを反映している可能性がある.しかし,忙しさの程度と各うっかり忘れの得点との相関は低かったことから,他の要因も複合的に関与している可能性が考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に,新型コロナウイルスの蔓延により対面調査が可能かどうか準備をしながら実施可能な期限の限界まで様子を見ていたが実施困難と判断し,オンラインで実施可能な方法に計画を途中変更した。この変更による遅れが今年度にも響いたため.
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Strategy for Future Research Activity |
学会で発表した際にうっかり忘れの尺度について非常に有益な指摘があり,項目内容の修正・変更を検討している.それらを反映した項目を用いて,再度データ取得・分析を行う.
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Causes of Carryover |
研究遂行の遅延が発生したため,調査を次年度に繰り越した.作成した尺度の項目について,今年度の学会発表で有益な指摘があったため,項目の修正の必要が生じた.修正後データの再取得を行う予定である.次年度使用額は主にアンケート調査を実施する際の参加者の謝金およびリクルート会社への支払いに充てる.
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