2023 Fiscal Year Research-status Report
強迫症に対するインターネットベースによる認知行動療法の有効性の検証
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20K14181
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大城 恵子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (00757479)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 強迫症 / 認知行動療法 / インターネット / ICBT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスウェーデンのカロリンスカ研究所で開発されたインターネットを用いたCBT(Internet-based Cognitive Behavioral Therapy;ICBT)のプログラム OCD-netの日本語版を作成し、実現可能性、安全性、有効性を検証することを目的としている。 <令和5年度の経過> 1.テキスト翻訳の再確認を実施:OCD-netはスウェーデン語で開発されたインターネットを用いた認知行動療法による強迫症治療のプログラムであるが、本研究では令和3年度以降、英訳版を用いて日本語への翻訳を進めてきた。令和4年度に本国のスウェーデン語版で内容の改定が行われたため、令和5年度はその英訳版を元に日本語への翻訳を行った。 2.強迫症の心理教育に関する説明に関する内容の検討:OCD-netのテキストは10個のモジュールで構成されている。そのうちモジュール1から4が治療への導入部分だが、モジュール1と2において説明されている強迫症のしくみのうち、本邦で行われている内容との相違点が見られた(強迫行為の説明に「回避」が含まれている)。該当する部分について日本語版では「強迫行為」から「回避」を別の章に分けることを提案している。 3.曝露反応妨害法実践のための事例の変更:強迫症の治療に於いて曝露反応妨害法を実践することは最も効果的であり必須である。インターネットを用いた認知行動療法プログラムであるOCD-netでもこれは必須であるが、テキスト内で提示されている曝露反応妨害法の案に、日本の文化に合わない部分があった。モデルとなる4つの症例すべてについて、曝露反応妨害法の例は2例提示されているが、該当する部分は削除とし、該当するモデルにおける実践案の提示は1例とすることを提案している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行による外出制限等で通常の業務ができなかったためOCD-netの翻訳に助言・内容の検討をしてもらうOCD治療の専門家との話し合いの 時間が取れなかったことに加え、研究担当者の健康上の理由等により研究に従事できなかった期間があり、翻訳作業が遅れていた。その間に本研究の元となっているスウェーデン語版が改定されたため、それに合わせて翻訳の改定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.修正の提案について現著者に確認後、千葉大学の強迫症治療チームに於いてテキストの翻訳の確認終了後、カロリンスカ研究所のシステム内にOCD-net日本語版を実装 2.18歳から70歳の強迫症患者24名程度に対して10週間のプログラムを実施 3.効果測定を実施
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Causes of Carryover |
本研究ではスウェーデンのカロリンスカ研究所で開発したICBTプログラムであるOCD-netの日本語版をカロリンスカ研究所のシステム上で実施するものだが、使用する日本語版プログラムの翻訳開発が未完成であったため、2023年度はカロリンスカのシステムと契約をしていない。そのため次年度使用額が生じている。2024年度はカロリンスカ研究所のシステム使用料、千葉大学データセンター使用料、研究結果の解析に使用する物品の購入(パソコン、統計ソフト等)等の支払いを予定している。
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