2022 Fiscal Year Research-status Report
An experimental study on the mechanism by which the therapist's interview skills may change the client's behavior
Project/Area Number |
20K14203
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
村井 佳比子 神戸学院大学, 心理学部, 教授 (40805157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反応変動性 / 個体内変動 / 言語刺激 / マインドフルネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教示に「自分の反応を見る」という手続きを含めるか否かによって、個体内に反応変化の差が生じるかどうかを実験的に検証し、カウンセリングの面接技術の中のクライエントの行動変化を促進する重要な要因は何かを明らかにすることである。研究は、第1段階「実験用プログラムの作成と予備実験」、第2段階「実験プログラムによる反応測定」、第3段階「データ分析」、以上3段階で実施する計画となっている。
2022年度は、第2段階で作成したオンライン実験プログラムにより、18歳~29歳の202名(平均年齢25.0歳、標準偏差3.2)のデータ収集を完了し、第3段階のデータ分析を開始した。現時点で明確になっているのは、次の3点である。①どのような内容であっても言語の提示は反応の変動性を低下させる傾向がある、②言語のうち感謝や労いの提示は反応の変動性の低下を緩和させる可能性がある、③個人差については思考にとらわれずに活動できる傾向のある人の反応の変動性は低下しにくい。以上のことから、「自分の反応を見る」言語の提示よりも、感謝や労いの提示の方が行動変化を促進する可能性があることが示唆された。また、行動変化を促す個人的要因について、マインドフルネスを手掛かりに検討した結果、体験に気づきながらもそれにとらわれずに活動できる傾向が特に関連する可能性が示された。近年、心理的支援において是認やコンパッションといった、あるがままを認めることの重要性が指摘されており、本研究結果はこれを裏付けるものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症の影響で対面での実験が困難であったため、オンライン実験プログラムを作成し、対面での実験で得られたデータと齟齬がないかどうかを確認する手続きを行ったことにより、2021年度に完了するはずであった反応測定作業が2022年度に繰り越された。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には200名のデータの収集がすべて完了し、概ね分析を終えている。今後、研究成果をまとめて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
論文作成作業等が2023年度に繰り越されたため、次年度使用額が生じた。今後、研究成果の発表等に関連する費用に充当する。
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