2021 Fiscal Year Research-status Report
大学生の抑うつ予防に対するうつ病のためのメタ認知トレーニングの効果検証
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20K14204
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
武田 知也 福山大学, 人間文化学部, 講師 (70748061)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | うつ病 / 予防 / うつ病のためのメタ認知トレーニング / 大学生 / Covid-19 / Covid-19により学習面で生じた不安 / Covid-19により経済面で生じた不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、成果報告と研究実施方法の見直しを行った。 本研究は、大学生のうつ病予防に対する「うつ病のためのメタ認知トレーニング」の効果検証を目的としている。研究を構想した当初は予期しなかったCovid-19の感染拡大によって、大学生を取り巻く生活環境は大きく変化している。一般成人を対象とした先行研究によって、生活環境の変化やそれに伴う不安は、抑うつ症状を悪化させることがわかっている。大学生を対象とした場合にも、生活環境の変化やそれに伴う不安が、抑うつ症状に悪影響をもたらしていることが予想される。そこで、Covid-19感染拡大下の大学生のメンタルヘルスを対象とした先行研究を概観し、生活環境の変化に伴う不安として、授業形式が変更になったことによって学業が遅れることへの不安(以下、学習不安)と家庭や本人の経済状況の悪化により大学生活が続けられなくなることへの不安(以下、経済不安)が抑うつ症状に与える影響を検討した。その結果、それらの不安を抱える学生は、抱えない学生と比較して、有意に抑うつ症状が高いことが明かとなった。この結果は、児童青年精神医学会に論文投稿され、受理されている。 さらに、上記の結果を受け、学習不安や経済不安を抱える学生は、大学生活を留年もしくは退学することや自身が当初望んでいた将来とは異なる将来を考えるなど、将来を否定的に捉える頻度が増加し、抑うつ症状を悪化させているという予測を立て、追加の検証を行った。その結果、学習不安や経済不安を抱える学生は、将来に対する否定的思考の生起頻度が増加し、抑うつ症状の増悪が起こることが明かとなった。この結果は、現在、学術誌に投稿中である。これら2つの研究から、学習面や経済面と共に心理面への支援の必要性が確認された。 これらの結果をプログラムに活用すべく、介入プログラムの見直しを行った。見直したプログラムを2022年度4月から実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の感染拡大によって対面でのプログラム実施が制限されたこと、また研究責任者が当該年度で異動することが早期に決まったため、時間にゆとりを持った対面での介入プログラムの実施が困難であった。 そのため、異動後、円滑にプログラムが実施できるよう、すでに実施した研究の結果を踏まえ、共同研究者と介入プログラムや実施時期を含む研究方法の見直しを行った。修正後の研究計画は、UMIN臨床試験登録システムに登録済みである(https://center6.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000054165)。
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Strategy for Future Research Activity |
異動先で4月から修正を加えたプログラムの効果検証を行う。すでに80名の学生を対象に無作為化によって介入群と待機群に群分けを行い、5月初め時点で介入群に3セッション実施済みである。 見直ししたスケジュール通りに進めば、9月末までに介入が終了する予定である。介入終了後は、結果の分析や論文執筆を行い、投稿に向けた準備を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国際学会がCovid-19によって開催が見送られたこと、さらに介入研究が実施できなったことによって、国際学会への旅費と研究参加者に支払う予定であった謝礼が次年度使用額として生じた。 うつ病のためのメタ認知トレーニングは、気分の落ち込みに関係する認知の癖を主なターゲットとするが、認知の癖を測定する適切な尺度が開発されていない。うつ病のためのメタ認知トレーニングの効果を適切に測定するため、認知の癖を測定する尺度を作成する必要性が生じている。その尺度の作成費用に用いたい。 翌年度分の予算として当初想定していた国際学会の参加旅費と謝礼などの費用は、Covid-19の感染拡大下の状況により国際学会が延期となることや、プログラム実施形式の変化によって参加者に謝礼を支払うことを取りやめたことによって、今年度同様に翌年度も未使用となる可能性が高い。研究責任者の異動先は、PC等のハード面での設備が整っていない。研究環境を整えるため、旅費や人件費・謝金を物品費に充て、具体的にはデスクトップPCや外付けHDDディスク等の記憶媒体の購入に使用したいと考えている。その他の予算に関しては、当初の予定通り、論文校閲費や投稿費に用いる。
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Research Products
(5 results)