2020 Fiscal Year Research-status Report
精神科訪問支援における臨床心理職の職能と多職種支援プログラムの構築に関する研究
Project/Area Number |
20K14207
|
Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
仲 沙織 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 准教授 (10814717)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 地域精神科医療 / アウトリーチ / 臨床心理職 / 多職種協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神科医療領域における訪問支援を対象とした調査を行い、臨床心理職の役割の明確化と、効果的な多職種協働支援プログラムの構築を目指すものであり、初年度となる当該年度では、2事業所のスタッフ計30名へインタビュー調査を実施した。インタビューでは、①現在の支援内容、②成果を感じた事例、③困難を感じた事例、④困難を感じた時に助けや支えになったもの、⑤心理職について、の5項目を軸にして回答を求めた。 現段階で分析途中であるが、先行研究で得られた、訪問支援の大部分を占めていた「生活支援」についてやや頻度が低下しており、「生活支援」を中心とした支援は介入初期にとどまる傾向が見られた。利用者の自立した生活を目指し、“支援し過ぎない支援”や、基盤として専門性は担保しつつ職種にこだわらない“超職種”として利用者のストレングスを見つけ、引き出す試みが実行されていた。この2事業所では、臨床心理職は間接的にチームへ参入しており、「コンサルテーション」や「スタッフのストレスケア」の役割を担っていた。訪問場面での利用者やその家族への直接支援については、ニーズや役割について今後研究を進めていく必要がある。 当該年度は、全国的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、研究課題申請時に受諾を得ていた他の4事業所については、インタビュー調査の受け入れが困難な状況が続いている。また、今回調査を実施した2事業所についても、計画を一部変更し、オンラインでのインタビュー調査となった。 並行して、臨床心理職の直接的な訪問支援について事例研究論文を提出した。訪問場面での心理検査の導入について、環境設定や心理検査道具の持ち出しなど課題も多い中、本論文で、WISC-Ⅳ、SCT、バウムテスト、K-F-Dの実施事例を検討し、可能性や課題について考察したものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究課題申請時には予期していなかった、全国的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、当初予定していた6事業所でのインタビュー調査の受け入れが困難な状況が続いたため、予定していた計画が大幅に遅れている。特に、緊急事態宣言が断続的に続いている都市部においては、今後も調査研究の受け入れの見通しが立っておらず、計画変更せざるを得ない状況である。 比較的落ち着いてきた、地方の2事業所については、オンラインに切り替えた形で受け入れを許可され実施に繋がった。新型コロナウイルス感染症については、今後も研究への影響が続くと予想され、次年度の計画も修正を検討する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題申請時には新型コロナウイルス感染症の影響を予期していなかったため、研究者が全国6都市の事業所へ出向き調査を実施する計画を立てていたが、初年度は緊急事態宣言も発出され、都市部の事業所を中心に、研究の受け入れが困難となった。研究遂行の方策を模索し、オンラインでの調査に切り替え、2事業所で調査を実施することができた。この結果を踏まえ、今後も、オンラインを利用した調査を軸として、2021年度に計画している質問紙調査については、各事業所へE-mail等のオンラインでの調査と紙媒体での郵送による調査を選択してもらい、柔軟に対応するよう計画を修正していく予定である。 2022年度に計画している介入調査については、オンラインへの変更が困難であり、感染症の状況を見ながら、引き続き推進方策を探っていく必要がある。
|
Causes of Carryover |
当該年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、インタビュー調査の計画が大幅に遅れ、縮小した形を検討せざるを得ず、2事業所のみへオンラインによるインタビューへ変更となった。そのため、計画していた旅費を執行せず次年度使用額が生じている。 次年度では、翌年度分として請求した助成金と合わせて、インタビュー調査が延期となっている4事業所を対象としたインタビュー調査を、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら進めていく計画に使用する予定である。また、当初計画していた、全国的な質問紙調査の実施についても並行して進めていく予定である。
|