2023 Fiscal Year Annual Research Report
ストレッサー経験後の習慣行動への依存:知見の拡張と緩和要因の検討
Project/Area Number |
20K14213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 駿太 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (30823603)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ストレス / コルチゾール / 習慣行動 / 回避行動 / 目標志向行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は実施が遅延していた,急性ストレッサーが習慣的な回避行動への依存に及ぼす影響を検討するための実験を実施し,計39名からのデータ取得が完了した。中間解析の結果からは,急性ストレッサーに曝露される実験群と統制群の間で習慣的な回避行動への従事には差はみられなかった。また,反応潜時データを用いた探索的な分析からは,急性ストレッサーに曝露されたものにおいては,むしろ目標志向行動のパフォーマンス向上がみられる傾向が見出された。この実験は事前登録に基づいて実施されていることから,今後も当初予定に基づいて,約80名の有効データが得られるまで次年度以降も実験を継続し,データ分析ののち研究成果の公表を行う見通しである。 また,過年度に実施した,ストレス反応と習慣的なスマートフォン使用の関係を明らかにするための調査研究について結果をとりまとめ,学会発表を行った。また,この成果について国際学術雑誌への論文投稿を完了した。 研究期間全体を通して,新型コロナウィルス感染症の流行の影響を受け,当初の計画の遂行が最終年度まで遅延し,予定していたデータ取得が完了しなかったことが課題として残るが,現時点で得られた研究成果からは,理論的に想定されてきた,ストレスは習慣的回避行動を促進する効果を必ずしも有しているとはいえないことが示唆される。今後もデータ取得を継続し,信頼性の高い知見を見出す中でこれを裏づけることが必要であると考えられる。
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