2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of support models for adaptation of adults with autism spectrum disorder focusing on attitudes towards ambiguity
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20K14223
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
榎木 宏之 広島国際大学, 心理科学研究科, 准教授 (90814236)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 曖昧さへの態度 / 適応支援 / ストレス対処方略 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、成人自閉スペクトラム症に対する比較対照群である成人健常者におけるWeb調査を予定していた。しかし、本研究における健常者の調査研究は数多くの尺度の使用を予定しているため、研究デザインについて再確認する必要があると判断し、 Web調査実施前に、使用尺度、及び仮説の検討のため、過去の当該データを用いて、一部の特性の関連について検討した。 再検討を行ったのは、健常者における①「ASD特性と精神症状の間での曖昧さへの態度の調整機能」及び、②「曖昧さへの態度における類型化」関してであった。用いた尺度は ①においては、AQ、曖昧さへの態度尺度(ATAS; Enoki et al., 2018)、SDS及びSTAIを用い、②においては、ATAS、SDS及びSTAIであり、使用したデータは過去に収集した健常者のデータである。①においては、共分散構造分析を行った結果、ATASのenjoyment因子がAQの細部への注意と抑うつの間を媒介し、抑うつを低下させるという知見が得られた。②においては、クラスター分析の結果4クラスターに類型可能であることと、クラスター間で、抑うつ及び精神症状が有意に異なる結果が得られた。①より、当初研究デザインとしていた、《ASD特性/気質-曖昧さへの態度-対処方略-精神症状-適応的行動/QOL》という結びつきは妥当と考えられた。②から得られた知見に関しては、今後成人自閉スペクトラム症の不適応パターンを分類する際の重要な参考値になることが示唆された。 今後は、以上の結果を踏まえて健常者のWeb調査を実施予定である。①②の知見については今後投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、健常者を対象としたWeb調査によって500名(18歳以上)の回収を目指す計画を立てていた。しかし、上記のような研究計画の再確認作業までには至った。しかし、新型コロナウィルス(covid-19)の感染拡大状況が影響したことと、年度途中で、研究代表者自身の所属研究機関の異動が生じたことにより、研究作業全体の遅滞が生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
健常群における適応モデルの検討をするため、調査を通して《ASD特性/気質-曖昧さへの態度-対処方略/ストレス関連成長-精神症状-適応的行動/QOL》の各特性の関係を見出し、ASD特性から適応行動までの心理構造を包括的に捉える。 その後は、当初、臨床群に対して、健常群と同様の調査を予定したが、所属機関の異動により研究環境が変化したため、臨床群の研究については修正しながら実施する可能性が生じている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、研究代表者の年度途中での所属研究機関の異動と、新型コロナウィルス(covid-19)感染拡大に伴う、研究作業の遅延による点が大きい。 2021年度は、2020年度に実施できなかったWeb調査と、オープンアクセス論文出版に伴う論文掲載料(APC)に充てる予定である。
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