2021 Fiscal Year Annual Research Report
治療可能性のある指標を用いたうつ病の対人関係療法の効果予測:個別化医療に向けて
Project/Area Number |
20K14224
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今井 理紗 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30769336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 対人関係療法 / 炎症反応 / うつ病 / 併存精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の患者に対人関係療法を計16回施行した際に、炎症反応(インターロイキン6、腫瘍壊死因子α、C反応性タンパク)や併存精神疾患群数(不安症、心的外傷後ストレス障害、摂食障害)が治療効果の予測因子となっているかを調査するという目的の研究計画書を作成及び倫理審査委員会の承認については、前年度までにすませており、リクルートも開始していた。一方で、令和2年度は新型コロナウイルス感染症が流行し社会的な問題となり、当初はウイルスの安全面などが 未知数であったことや、緊急事態宣言の発令もあり、リクルートを一時中断した。感染の状況がおさまり次第、リクルートを再開する予定であったが、現在まで予測が難しい状況が続いていた。
また、併存精神疾患と治療反応性について調べるため、抑うつエピソードを呈している入院を開始した患者において治療反応と併存精神疾患との関連を調査した結果、併存精神疾患の数はうつ症状の変化を予測していた。また、併存精神疾患の数は特に感情面(喜びの喪失、落涙、苛立ち)の改善の変化を予測していた。 この結果は、もともと感情が回復しにくいために併存精神疾患が増えていったという可能性や、もしくは併存精神疾患の症状が重なることによって感情が回復し にくくなったなどの可能性が考えられる。この研究の結果からすると、治療抵抗例の患者で併存精神疾患が多い患者に対しては、併存精神疾患を治療して減らすか、もしくは感情に対してより効果的な治療法が開発されると治療できる可能性がある。この結果は英語論文としてまとめ、現在投稿中である。
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