2022 Fiscal Year Annual Research Report
性暴力行動を扱う専門家のための学習資源と研修カリキュラムの構築
Project/Area Number |
20K14234
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
毛利 真弓 同志社大学, 心理学部, 准教授 (70780716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性問題行動 / 性犯罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,2021年度に作成したDVD研修資料「性問題行動の基本的理解と介入の基礎」(全16講義収録)と付属テキストを研究協力者(性問題行動を扱う専門家)に配布し,DVD受講前後に①性問題行動への態度尺度(ATS-21)(性問題行動を持つ人への信頼・意図の推測・社会的距離を尋ねる項目),②動画研修及び資料に対する感想の入力を行ってもらった。並行してインターネット調査会社を通じて一般成人を対象にATS-21の回答をしてもらい,専門家群の平均値と比較できるようにした。 調査に協力したのは,専門家群では視聴前302名,視聴後193名(前後比較はそのうちマッチングができた70名で実施),一般(成人)群は256名であった。専門家群は,児童相談所や子ども家庭センター職員66%,児童福祉施設職員9%,学校職員9%,被害者支援機関/相談所職員6%,司法機関職員3%,その他児童にかかわる職業3%,医療機関職員1%,分類されないその他3%であった。 一般群と専門家群(開始前)のATS-21の比較では,専門家群のほうが有意に性問題行動を持つ者への否定的視点が低く,専門家群はもともと性問題行動を持つ者への否定的感情や社会的距離が少なかったが,DVD視聴後のATS-21はさらに有意に数値が下がっており,DVDの視聴により学習が進んだことが明らかになった(論文投稿に向けて作業中)。 子どもの性問題行動を扱う専門職に性問題行動の基礎知識を持ってもらうことを狙いとして学習資源の開発とその効果検証を行った結果,作成した教材によって性問題行動への理解が進むことが明らかとなった。研究中,予定していたDVD配布後も問い合わせが相次ぐなど社会のニーズが高いことが伺え,今後も引き続き,求めている多くの人に届く研修機会・教材の開発が課題と考えられた。
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Remarks |
研究代表と協力者が所属する団体のホームページにて,作成した動画教材を今後無料で視聴できるようにした。
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