2021 Fiscal Year Research-status Report
多様な労働環境における仕事からのディタッチメントに関係する要因の認知行動的理解
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20K14238
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
中村 志津香 広島国際大学, 健康科学部, 講師 (70846922)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仕事からのディタッチメント / 在宅勤務 / マインドワンダリング / 思考制御能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度末にクラウドワークスを用いたオンライン調査により収集したデータの分析を主として行った。仕事からのディタッチメント(勤務時間外に仕事から身体的・心理的な距離をとること)が保たれている労働者は、終業時間外には仕事に関連する思考は生じないと考えられる。このような人は、仕事に関連する思考を止めるよう努力することなどの思考制御能力が必要であることが示唆されているが、それらを実際に検討した研究はない。そこで、持続的注意課題(SART)を援用した認知課題を用いた生態学的妥当性の高い方法と質問紙調査を組み合わせ、それらの関連を検討した。 週30時間以上就労している18歳以上の労働者を対象としてクラウドワークスにて募集を行い、126名から回答を得ることができた。一般化線形混合モデルを用いた分析の結果、思考制御能力の自己評価が高い人は、認知課題の最中に仕事に関連する思考が生じにくいことが明らかになった。一方で、在宅勤務の頻度などの勤務形態は仕事に関連する思考の生起と関連しないことが明らかになった。 この結果は、仕事からのディタッチメントを高める心理学的要因を明らかにすることを目的とした本研究課題の重要な成果といえる。一方で、本研究課題のもう一つの重要な変数である勤務形態の影響については不明瞭な点があるため、今後も引き続き新たなデータを収集し、研究を進めていく必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動のため、研究環境を整えることに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータ分析を進め、研究成果を国内外の学会誌に投稿する。また、新たなデータの収集を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動のため、研究環境を整えることに時間を要したため、研究が思うように遂行できなかった。次年度は、新たなデータ収集を行う予定であるため、データ収集費用や国内外での研究成果報告のために研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)