2021 Fiscal Year Research-status Report
持続的な健康に向けた心理的ウェルビーイングの機能解明:フィールド-実験的研究
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20K14243
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Research Institution | Kyushu Ryukoku Junior College |
Principal Investigator |
三原 健吾 九州龍谷短期大学, 人間コミュニティ学科, 講師 (30846572)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心理的ウェルビーイング / 自己成長感 / 唾液中バイオマーカー / ノルアドレナリン神経系 / コルチゾール / 主観的健康感 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究を継続して,心理的ウェルビーイング(生きがいや自己成長の追及にかかわる心の特質)と日常生活場面における唾液中の心理生物学的反応(free-MHPG、コルチゾール、s-IgA)や主観的健康感との関連性について横断的に検討した。その結果,心理的ウェルビーイングの中でも,特に人格的成長感(自分自身が成長し進歩している感覚)が強い大学生ほど,唾液中のfree-MHPG含有量(ノルアドレナリンの最終代謝産物)及びコルチゾール分泌量(副腎皮質から分泌されるストレスホルモン)が低値であり,主観的健康感が高いことが示された。これらの結果は,ネガティブ感情,性別,BMI,健康行動といった交絡要因を統計的に調整したうえで認められた。これらの結果から,大学生における自己成長の自覚の強さは,ノルアドレナリン神経系、内分泌系の調節機構を介して心身の健康と関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に基づいて,横断研究を実施し,予定通り順調に遂行している。今後は,心理的ウェルビーイングと心身の健康及び心理社会的要因との双方向的な関連性を明らかにするための縦断研究や急性ストレス負荷による実験研究を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
心身の健康を導く心理的ウェルビーイングの生物学的基礎過程を明らかにするために,令和3年度の研究から得られた結果を基に,1年間にわたる縦断研究と急性ストレス負荷による実験研究を加速度的に実施する。
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Causes of Carryover |
今年度は,新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により,学会参加による旅費の使用が減少した。また,唾液の採取も限定的となり,唾液中バイオマーカーの測定キットの購入も控えた。次年度では感染状況に留意しながら唾液採取を行い,コルチゾールやインターロイキン-6などの生理指標を測定し,得られた成果を国内外の学会で発表する予定である。
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