2023 Fiscal Year Research-status Report
持続的な健康に向けた心理的ウェルビーイングの機能解明:フィールド-実験的研究
Project/Area Number |
20K14243
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
三原 健吾 比治山大学, 現代文化学部, 講師 (30846572)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心理的ウェルビーイング / 生きがい / 向社会的行動 / 炎症 / 免疫系 / 文献レビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「持続的な健康に向けた心理的ウェルビーイング(PWB)の機能と役割とは何か」という学術的問いに答えるために、大学生を対象に、PWBの心身の健康に及ぼす心理生物的調整機能の解明を目指すことである。 今年度は,PWBと心理生物的要因との双方向的な影響性を検証するために,1年間にわたって,4ヶ月毎に唾液採取とPWBを含む心理社会的要因を評価する質問紙への記入を求める縦断研究を実施する予定であった。しかし,研究代表者が県外大学に転職し研究環境を十分に整備することができなかったため,今後の縦断研究を精緻化することを目的に,PWBと心理生物的調整機能との関係について文献レビューを行った。具体的には,心身の健康と密接に関連する免疫機能として,炎症に焦点を当て,神経-免疫相互作用におけるPWBの適応的役割を文献レビューによって検討した。その結果,PWBが炎症と抗ウイルス応答の調節を介して,心身の健康や寿命の延伸を導く可能性が示唆された。特に,本邦においては,PWBの中でも周囲との協調的な関係性や向社会的行動などの社会的側面が,より強く健康的な免疫機能と関連することが示唆された。また,介入研究においては,ストレスを軽減しPWBを促進するための心理社会的介入は,炎症の減少と抗ウイルス応答の増加に効果的であることが明らかとなった。しかし,これらの介入方法が,免疫系に対して一様に効果的であるかどうかについては,未解明の部分も多く,今後のエビデンスの蓄積が重要であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は,PWBと心理生物的要因との双方向的な影響性を検証するために,1年間にわたって,4ヶ月毎に唾液採取と心理社会的要因を評価する質問紙への記入を求める縦断研究を実施する予定であった。しかし,研究代表者が県外の大学に転職し研究環境を十分に整備することができず,唾液中バイオマーカーの測定環境を整えるために時間を要したこともあって,縦断研究の実施は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
PWBと生物心理社会的要因との双方向的な影響性を検証するために,1年間にわたって,4ヶ月毎に唾液採取と心理社会的要因を評価する質問紙への記入を求める縦断研究を行う。PWBが唾液中コルチゾールや炎症性サイトカインなどの生理指標に与える影響について,BMIやネガティブ感情などの交絡要因を統計的に調整して解析を行う。
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Causes of Carryover |
転職による大きな環境変化によって研究の遅延が生じたため。唾液中コルチゾールや炎症サイトカインを測定するキット等に使用する予定である。
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[Presentation] 大学生の持続可能な開発目標(SDGs)ターゲット行動の意識性・実行性と精神的健康との関連性2023
Author(s)
谷 佳成恵, 津田 彰, 堀毛 一也, 伏島 あゆみ, 田中 芳幸, 堀内 聡, 三原 健吾, 岡村 尚昌, 矢島 潤平, 石橋 香津代, 宮田 直樹
Organizer
第30回日本行動医学会学術総会