2021 Fiscal Year Research-status Report
Examination of Psychological Impacts of Childhood Trauma
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20K14244
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
中島 実穂 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 客員研究員 (40847753)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 児童期トラウマ / CTQ |
Outline of Annual Research Achievements |
児童期トラウマとは、18歳未満で経験したトラウマ体験であり、感情的虐待・身体的虐待・性的虐待・感情的ネグレクト・身体的ネグレクトの5つに分類される。児童期トラウマは、精神障害や自殺のリスクを高めるなど、生涯に渡って多大な影響を及ぼすと言われている。近年我が国では、児童虐待に関する報道が多くなされるなど、児童期トラウマ対する関心が急速に高まっている。また世界的にも、自然災害の頻発や情勢不安による影響の増大を背景に、児童期トラウマはますます重大な問題として認識されてきている。児童期トラウマによって傷ついた心を効果的にケアするためには、児童期トラウマがもたらす心理的影響メカニズムを、詳細に解明する必要がある。本研究課題の目的は、児童期トラウマ成人してからの心理特性にどのような影響を与えるのかを検討することである。 2021年度は、児童期トラウマの測定尺度として最も広く使われているChildhood trauma questionnaire(CTQ)の因子構造および得点を、健常群と臨床群で比較した。分析の結果、CTQの因子構造は、健常群と臨床群の両群において、原版と同じ5因子構成であることが確認された(感情的虐待・身体的虐待・性的虐待・感情的ネグレクト・身体的ネグレクト)。また全ての因子において、臨床群の方が健常群よりも得点が有意に高かった。さらに人口統計学的属性とCTQ得点の関連を検討した結果、CTQ得点は年齢や性別と関連することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り調査・分析が進み、結果がまとまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、児童期トラウマが及ぼす心理的影響について、児童期トラウマの世代間伝達に着目して検討していく。児童期トラウマの被害者は、自分自身が親となって子育てするにあたり、問題や苦悩を抱えやすく、不適応的な育児を行うリスクが高いこと(児童期トラウマの世代間伝達)が、先行研究によって示されている。本研究では、児童期トラウマの世代間伝達メカニズムの詳細を明らかにし、有効な心理社会的介入方法を論じていく。
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Causes of Carryover |
21年度残額はオープンアクセス誌への投稿費用として使用する予定であったが、その費用として残額が足りなかった。そのため費用を次年度予算で補填し、22年度に投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)