2023 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患における認知的効率が社会機能へ及ぼす影響ならびにその機序の解明
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20K14246
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
末吉 一貴 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, リサーチフェロー (10835581)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 気分障害 / 認知機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患患者の社会的回復を妨げる要因として認知機能障害が挙げられる。実際の認知処理には複数の認知機能が関与することから、ある機能が障害されても他の機能によってパフォーマンスが一定に保たれるよう代償されうる。さらに、パフォーマンスが一定でも高次の機能が関与する程度によってそのパフォーマンスを維持する努力、すなわち効率が変化しうるだろう。認知機能の多くは検査場面において短時間に発揮される能力によって測定されるが、実生活においてはある一定水準の能力を持続的に発揮することを求められることも多い。精神疾患患者の多くに易疲労性がみられることからも、短時間に発揮される能力だけでなく、その能力がどれだけの努力によって発揮されたのか、つまり効率に着目することに意義があると考えた。そこで、本研究においては認知機能の効率を定量的に測定し、自律神経系の活動および社会機能との関連を検討する。研究対象者は統合失調症と双極性障害および大うつ病性障害の患者とした。特に統合失調症と双極性障害の認知機能障害プロフィールは類似することで知られ、認知機能障害は診断にかかわらず同質のものとして考えられている。そのため、本研究においては診断横断的な知見を得るために、認知機能障害が注目されている統合失調症圏および気分障害圏の患者を対象とすることとした。2023年度は事象関連電位の測定機材ならびに環境を準備し、測定可能な状況となった。また部所内のほかの研究と参加者の募集が競合しないよう調整をし、気分障害を中心にデータの収集をおこなった。ほかに、国際学会において、気分障害における認知機能障害に関して発表をおこなうとともに、関連する研究領域について国内外の情勢を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
測定環境の整備や部署内での募集体制の整備が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に研究対象者リクルートを進めていく。
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Causes of Carryover |
研究が遅れ、期間を延長したため生じている。研究参加者への負担軽減費として使用していく。
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