2020 Fiscal Year Research-status Report
新規な道具使用学習における他者の行動観察の効果とその神経基盤の検討
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20K14248
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石橋 遼 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (90750266)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 道具使用 / 観察学習 / 意味認知 / 表象類似度解析 / 意味記憶 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新規な道具の学習の為に、イギリスにおける道具使用研究(Bozeat et al., 2002)で用いられた道具のリストを用い、関連研究の予備調査として道具のfamiliarity評定、使用頻度評定、を日本人の協力者に行ってもらったデータを検討した。結果としてfamiliarity指標は日本人の方で全体的に低いものの、大きな差は見られなかった。したがって、より日本人に知られていない道具を実験刺激として導入する必要性が示唆された。 実験準備自体は新規データの取得が難しい状況が生じたこともあり予定通りには進んでいないが、一方で本研究計画において必須となる表象類似度解析の手法確立に関しては発展が得られた。既存データを用いた検討ではあるが複数の種類の情報による別々の表象類似度モデル(例えば視覚的特徴に基づくもの、文脈的特徴に基づくもの、操作方法の特徴に基づくもの)を同時に回帰分析的に使用することにより、どのモデルが任意の脳領域における活動パタンを説明するのかを重回帰分析の結果として明示する計算的方法及びそのスクリプトの大枠を完成させた。結果のvisualizationや、検出された脳領域の統計値の表示方法などについてはより精錬させることが必要であるが、オリジナルの表象類似度解析に比べてより包括的に複数のモデルを比較することができる方法と言え、特に互いに関連する特徴モデル間で一方の影響を除いて(例えば道具の視覚情報による影響を除いて)他方が脳活動パタンを説明する程度(視覚情報の影響を除いたうえで、操作方法の情報が脳活動パタンを説明する程度)を各脳領域について定量的に明らかにできる。本年度はこのような手法の実際的な適用手段開発に時間を振り向けることができた点で当初の方向とは異なるが同程度に生産的な研究活動を行えたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染拡大の影響により実験の実施が全面的に停止となる期間が生じ、新規データ取得が可能な期間が限られた。また所属先のMRI装置の更新が世界的なコロナウィルス感染拡大状況の影響で数か月遅れとなり、実験環境の確立や更新後に可能な撮像パラメータ設定などの情報収集に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
刺激となる道具のセットをまず拡張してできる限り多くの道具及びその写真を用意し、そのfamiliarity評定を行ってよく知られていない道具刺激群を選択する。それらの使用状況を示す動画を撮影し、パイロット実験として数名-10名程度の被験者に観察学習を行わせる予備調査を行う。また道具操作特徴の評定の為に、本年度までの関連研究の行動実験で策定した特徴リストを用い、道具使用学習成立後に特徴のあてはまりの評定を行ってもらうことで、学習による道具の操作方法情報の被験者間での収束の程度を量的に見積もる。収束しない刺激については一貫した観察学習が見込めない刺激として今後の実験からは除外を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大の影響により実験の実施が全面的に停止となる期間が生じ、新規データ取得が可能な期間が限られた。また所属先のMRI装置更新の遅れも生じ、関連する業務も年度後半にずれ込むことになったため、使用可能な時間と年度内の官僚が必要な業務を鑑みて戦略的に年度をまたいで実験準備を進行させることとした。道具刺激の絞り込みと実物購入は今年度内に行う予定である。
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