2022 Fiscal Year Research-status Report
新規な道具使用学習における他者の行動観察の効果とその神経基盤の検討
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20K14248
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
石橋 遼 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (90750266)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 道具使用 / 意味表象 / 行為 / fMRI / 表象類似度解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はfMRI実験を行ってさらに18名分のデータを取得し、データ数を2倍にした。手法は前年度までの取得データと同様とし、実験に用いた各道具刺激について、熟知度(familiarity)の評定も求めた。これまでと合わせて36名分のデータが現状利用可能であり、これまで(18名分)のデータに基づくよりも相当に高い検定力で、道具の意味の表現に寄与する脳領域の活動を検討できるものと見込まれる。最終的には40名分のデータ取得を目標としていたが、本年度後半に代表者が勤務先を変更する必要が生じたため、12月までに支出を完了する必要があり、これ以上の取得は実現できなかった。また分析のための時間が十分ではなかったため、本報告時点ではまだ分析結果を得るには至っていないが、脳画像データの前処理は完了しており、取得済みの行動データと突き合わせて今後分析を進める状況である。 また、本年度の1-3月には本研究の実験計画を着想するに至った過去の実験データの再分析を行った。この分析では左右の前側頭葉、下頭頂小葉、上頭頂小葉、後頭視覚領域について解剖学的に規定された領域を対象に、道具に関するどのような情報を表現しているか検討を行い、さらにこれまでの相関分析ではなく一般化線形混合効果モデル(GLMM)を用いることで、有意に仮説に合致する結果を見出した。すなわち、前側頭葉領域では道具間の使用目的・状況の類似性が活動パタンに対応しており、頭頂葉(上頭頂小葉のみであったが)では道具の操作方法に、後頭葉視覚領域では道具の物理的構造に、それぞれ対応する活動パタンがあることが示された。どう分析手法を全脳の領域に展開することは計算量が膨大になるため現実的ではないが、対象とした4領域は道具認知において重要であることがこれまでの研究からも示されており、同様の分析手法の選択が今回の研究においても有益であると見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度までのコロナウイルスの感染拡大の影響で大幅な遅れが生じていたため、本年度は遅れを取り戻すべくデータの追加取得を行ったが、代表者の勤務先異動スケジュールなどにより完全に遅れを取り戻すには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
fMRIデータの解析を進め、表象類似度解析を道具の概念的情報、特に使用方法のような手続き的な要素を含む情報表現の責任部位検出に活用することの妥当性についてさらに検証を進める。また、これまでに取得した、90種類の道具の日本国内における熟知度数(familiarity)データを参考に観察学習用の動画について検討し、動画視聴によって道具の使用方法の習得が促進されることを調査によって確かめる。このために学習前後の意味特徴モデルについて、本年度倍増させた取得済みデータをベースに検討し、個人間の評定の違いがどの程度であるかを刺激ごとに確認する。熟知度が高すぎず、かつ個人間で意味内容の評定の違いがそれほど大きくない道具を次の観察学習-fMRI実験における使用刺激の候補とし、20-30代を対象に確認のための調査を実施する。調査の結果をもとに観察学習の対象となる道具群を決定し、使用状況・方法を示す視覚刺激を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
一昨年度まで大幅な遅れが生じていたため、本年度は遅れを取り戻すべくデータの追加取得を行ったが、代表者の勤務先異動スケジュールなどにより完全に遅れを取り戻すには至らなかった。次年度は道具の意味表象の評定データに関して、現状の36名分では不足の可能性が高いため、傾向の確認・追試を兼ねてより大人数を対象に調査を行う。対象人数については既存データでの評定のばらつきをもとに必要人数を推定する。また、次のfMRI実験に使用する観察学習用の視覚刺激作成のために、道具の現物の購入・モデルの雇用や映像処理のために助成金を使用する。そののち、fMRI実験の実施にかかわる人件費・謝金の支出を計画している。
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