2022 Fiscal Year Research-status Report
トップダウン処理の感情生成とその制御に関する神経生理学的検討-基礎から応用へ―
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20K14251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 幸世 東京大学, 教養学部, 講師 (90767716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トップダウン処理の感情 / 自伝的想起 / 感情誘導 / 生理変化 / fMRI / 扁桃体 / 社会的感情 / 対人関係ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、トップダウン処理の感情誘導(日常生活における対人関係ストレスの想起による感情誘導)や感情制御に関して、生理的変化(瞳孔径と体表温度)と主観的感情変化を中心に検討してきたが、当該年度は、fMRIを用いて感情誘導時の脳活動変化を検討した(「検討1:トップダウンの感情生成の妥当性の検証:神経生理学的検討)の実験1-Aに相当)。すでにデータは採取済みであったが、このfMRIデータについて解析を行った。その成果は、Society for Neuroscienceにてポスターで発表(Virtual poster presentation)した。また日本心理学会でポスター発表を行い、この大会において日本心理学会学術大会優秀発表賞を受賞した。学生主体で開催されている協調的社会脳研究会からも依頼を受け、研究会にて発表した。この内容は論文化し、International Journal of Psychophysiologyで発表した。
また当該年度において、fMRI研究の続編となる感情制御の研究(「トップダウンの感情に対するディストラクション効果」の実験2-Aに相当)に関して、行動指標の解析を行った。fMRIデータの解析についても前処理を行い、解析を進めた。
以上の研究の他に、次の感情制御の実験計画(検討3)を進めた。東京大学大学院総合文化研究科附属進化認知科学研究センターの実験環境を整えた。6名程度の予備実験を行い、20名程度のデータを収集した。今後、データをさらに収集する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
fMRIを用いた検討であるトップダウン処理の感情誘導(日常生活における対人関係ストレスの想起による感情誘導)の研究成果について、日本心理学会で受賞したり、国際学会で発表したりと、一定の成果を得ることができた。しかし、近赤外線分光法(NIRS)を用いた実験計画を遂行するにあたり、予定していたNIRSの機材が故障し、必要部品を入手し修理する必要性が生じたため、実験計画の遂行が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、現在解析中のfMRIを用いた感情制御の実験(実験2-A)のfMRIデータの解析を進める予定である。前年度に解析は進めてきているが、今後は解析の種類をさらに広げて、コネクティビティ解析などを取り入れていく予定である。fMRI解析の結果は、9月に実施される日本心理学会で発表する予定である。また今年度中に、成果を論文にまとめ、発表していく予定である。 実施中のNIRS実験の被験者データについても、さらに収集していく予定である。現在は20名程度収集済みであるが、最終的には、80名程度収集していく予定である。また、データの解析も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
使用を予定していたNIRSの機材が故障し、実験計画が遅れたため、次年度もデータ収集を継続する。残額は、このための謝金や諸経費などに使用する予定である。
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[Presentation] Synergistic effects of disgust and anger on amygdala activation while recalling memories of Interpersonal stress: an fMRI study2022
Author(s)
Ozawa, S, Nakatani, H, Carlos, M, M, Hiraki, K, Okanoya, K
Organizer
Neuroscience 2022, Society for Neuroscience Annual Meeting