2021 Fiscal Year Research-status Report
中枢性疲労を伴う不登校生徒のトリプトファン動態と白質形態変化の解明
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20K14255
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 雅俊 京都大学, 総合生存学館, 特定研究員 (50828928)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中枢性疲労 / 社会的ジェットラグ / セロトニン / キヌレン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢性疲労は脳神経系を主体とする疲労現象である。当該年度では、1)幼稚園児から高校生を対象とした疲労・睡眠・好奇心に関する大規模調査、2)ヒト疲労のバイオマーカーの確立、3)白質堅牢性に関係するオリゴデンドログリアの疲労物質解析に関する研究を行った。 その結果、1)高い中枢性疲労度や社会的ジェットラグは好奇心の低下と相関すること、2)疲労負荷後の尿中5-HIAA(セロトニンの代謝産物)濃度は負荷前よりも低いこと、3)中枢性疲労時のオリゴデンドログリアではキヌレン酸(トリプトファンの代謝経路の物質の一つ)含量が増加し、ミエリン鞘の形成に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆した。 1)の研究報告は国際学術誌への投稿に向けて論文の執筆中であり、3)の研究報告は国際学術誌で修正後査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年1月から2022年1月にかけて感染症拡大の影響により、子ども教育機関における対面での研究活動が規制されていた。そのため、研究の進捗はかなり遅れている。 対策として、この期間中はアンケートを用いた大規模調査への切り替えおよび実施、論文の執筆、過去に回収した神経伝達物質や脳細胞の解析などを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、不登校やそれに関わる神経発達障害(ADHDやASD)を対象として、子どもの疲労し易い病理的特徴を明らかにする。福井大学医学部に赴任したこともあって、サンプリングは外来を通じて行うことができるようになった。円滑に研究を推し進める予定である。
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Causes of Carryover |
感染症の影響により、研究協力連携中の教育機関では当該年度の対面研究が規制されていた。そのため、研究費の無理な執行は行わず、対面研究の規制が緩和された翌年度分に繰り越すことで、より多くの対象者をリクルートしMRIや尿中の疲労物質の解析を行うためである。
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