2021 Fiscal Year Research-status Report
Rhythms in Attentional Control by Working Memory
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20K14274
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川島 朋也 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70825851)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚的注意 / 注意の瞬き / 脳律動 / 感覚引き込み / MEG |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの認知機能である視覚的注意はリズミカルに変動することが知られている。注意の時間的限界を示す例として知られる注意の瞬き(AB)は、ワーキングメモリの刺激処理によるボトルネックが関与する可能性が指摘されている。 心理物理実験とMEG計測を組み合わせることで、注意の瞬きには後頭のアルファ波と頭頂のシータ波が関与することを実証した。特に、2つの標的刺激が妨害刺激とともに連続して呈示されるRSVP AB課題では、2つ目の標的刺激の呈示前のアルファ波が増大するとともに、検出率がアルファのリズムで振動した。一方で、2つの標的刺激のみが出現するskeletal AB課題では、2つ目の標的刺激の呈示前のシータ波が増大するとともに、検出率がシータのリズムで振動した。これらの結果は、2つの機能的に異なる神経律動がヒトの視覚認知に関与し、その関与の程度は両者のパワーのバランスによって決まる可能性を示唆するものである。これら一連の研究成果はbioRxivに公開し、現在査読中である。 神経律動と注意の瞬きの関連の因果性に迫るために、感覚引き込みの手法を用いて注意のリズム性をオンライン実験で検討した。実験の結果、10 Hzの引き込み音刺激の呈示後は後続のRSVP AB課題における注意の瞬き強度が増大した。一方、4 Hzの引き込み音刺激の呈示後はskeletal AB課題の注意の瞬き強度が増大した。これらの結果はアルファ波とシータ波の2つの神経律動が因果的に注意の瞬きに関与することを示すものである。これら一連の研究成果はPsyArXivに公開し、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、追加実験や追加解析をすることで2つの研究成果をまとめ、国際誌に投稿することができた。そのため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った心理実験により、音刺激による感覚引き込みで視知覚が変調する可能性が示唆された。2022年度はリズミカルな音刺激が視覚野をクロスモダルに引き込む神経機序をMEG(脳磁図)により検証する。さらに、音刺激による引き込みの他の実験パラダイムへの拡張を行い、神経律動と視知覚の関係をさらに検証する。これらを通して、ワーキングメモリによる注意制御機構の解明に発展させる。
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Causes of Carryover |
計画していた実験の実施が次年度に移行したために次年度使用額が生じた。この次年度使用額は実験実施の謝礼として利用する計画である。
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Research Products
(7 results)