2020 Fiscal Year Research-status Report
アフィン量子群のレベル・ゼロ表現論と幾何学的佐武対応
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20K14278
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石井 基裕 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (00732463)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アフィン量子群 / アフィンワイル群 / ボット・サムエルソン多様体 / 量子ブリュアグラフ / 柏原中島盤 / レベルゼロ表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従って、アフィングラスマン多様体のシューベルト部分多様体に付随するボット・サムエルソン多様体の組合せ論的構造を研究した。ボット・サムエルソン多様体は、アフィン建物の中の指定された型のギャラリーのモジュライ空間として実現され、そこへのトーラスの作用に関する固定点は、アフィンワイル群の元の列として実現されることが知られている。これらトーラス固定点の詳細な記述を得ることを目指し、2020年度は、主にABCD型の基本ウェイトに対応する場合に、柏原結晶構造と盤とを用いて研究を行った。得られた結果は以下の通りである。 (1): BD型の場合に量子柏原中島盤を導入し、これらがBD型アフィン量子群のレベル・ゼロ基本表現の結晶基底を実現することを示した。更に、BD型アフィン量子群のレベル・ゼロ基本表現の結晶基底に対する3つの実現、量子LSパス模型、量子柏原中島盤模型、及び(通常の)柏原中島盤模型の間の柏原結晶としての同型を与えるアルゴリズムを得た。このアルゴリズムを記述するためには、(レベル・ゼロ)基本ウェイトに付随する量子ブリュアグラフの中の(1/2)-列に対するマヤ図形による明示的な記述が重要な役割を果たした。量子柏原中島盤は、上述のボット・サムエルソン多様体のトーラス固定点集合の中のある特別な部分集合に対応する。 (2): (1)の応用として、更にBCD型の場合に半無限柏原中島盤を導入し、これらがBCD型アフィン量子群のレベル・ゼロ端ウェイト加群の結晶基底を実現することを示した。(1)はレベル・ゼロ基本ウェイトの場合に限定された結果であるが、(2)の実現は一般のレベル・ゼロ優整ウェイトに対して成り立つ結果である。(1)と(2)において導入された盤はいずれも有限A型のヤング盤や有限BCD型の柏原中島盤の自然な一般化と見なすことができるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ボット・サムエルソン多様体のトーラス固定点集合全体に対する柏原作用素の詳細な記述を得ることはできていない。また、対応するボット・サムエルソン多様体のコホモロジー群への幾何的な作用の定式化は未完成である。
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Strategy for Future Research Activity |
ボット・サムエルソン多様体のトーラス固定点集合全体に対する柏原作用素の記述を得たい。その上で、更に詳細な情報を得るために、(二重)アフィンヘッケ環(の退化版)の作用を用いて、この記述を精密化することが有益であると考えている。また、対応するボット・サムエルソン多様体のコホモロジー群への幾何的な作用の定式化を与える。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額とは異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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