2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14280
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
社本 陽太 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (50823647)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不確定特異性 / Stokes構造 / 数理物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
関数方程式が,ある特異点の周りで指数的な振る舞いをするとき, 不確定特異点と呼ばれることがある. 本研究では, その不確定特異点について, 頂点作用素代数やミラー対称性予想といった数理物理学への応用を念頭に研究を行ってきた. 今年度は, 昨年度得られた線形差分方程式のStokes構造についての結果を雑誌に掲載することと, さらなる発展の可能性を模索することに充てられた. 結果として, 2本の論文についてその査読プロセスが進行し, 出版に向けて順調に進んでいると言える. また, 発展の方向性についても, 得られた結果の一般化について, 技術的な進展が見られたり, 予想していなかったような発展の方向性について(現段階でその確定的な内容を記述することは控えるが)得られた. また, 得られた結果や発展の方向性について, 様々な研究集会で発表する機会も得た. この方向性について, 2024年度以降の科研費にも採択され, 順調に研究を進めていけると考えている.
一方で, 頂点作用素代数との関連の方向については, 差分方程式と量子群の関係など, 興味深いトピックがあるものの, 手をつけられていないのが現状である. D加群に関連した結果についても, 断片的な結果にとどまっている. 今後も粘り強く研究を進めることで, 明確な成果に繋げていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
差分方程式のStokes構造について, 当初予想していなかった結果が得られ, これについて査読プロセスが順調に進展している一方で, 当初計画していた方向について, 得られた結果をより深めて明確な成果とするだけの時間が得られなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
差分方程式のStokes構造について一定の方向性が見込めるため, この方向で研究を進める. 一方で, 共形場理論や頂点作用素代数との関連についても, 再度専門家との交流の機会を設けたり文献を通じた情報収集を続けていくことで, 新たな発展の方向を探る.
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Causes of Carryover |
子の養育や感染対策のため, 出張の予定を減らしたため. 物品購入や書籍の購入により使用する.
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