2021 Fiscal Year Research-status Report
Weight modules and crystal bases for quantum symmetric pairs
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20K14286
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
渡邉 英也 大阪市立大学, 数学研究所, 日本学術振興会特別研究員(PD) (10848782)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子対称対 / 結晶 / 標準基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
ある種の準分裂型量子対称対の表現の構造を詳しく解析することで、新しい組合せ論的構造を発見し、i結晶という概念を定義した。この概念は組合せ論的であるが、量子対称対の表現の構造をよく反映している。実際に、階数1の量子対称対のあるクラスの表現においては、その構造はi結晶から復元されることがわかった。 応用として、量子対称対のi標準基底の新しい構成法を与えた。この方法は、従来のものより自然であり、i標準基底の安定性に関するより深い結果を得ることができる。 さらに、AI型量子対称対の標準基底の性質を、i結晶を用いて解析した。結果として、この場合の標準基底は、セルラー性という著しい性質を持つことが分かった。このことは、一般の量子対称対の標準基底がセルラー性を持ち、従ってその表現論がセルラー構造の理論で理解できる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ある種の準分裂型量子対称対の結晶基底の理論の基礎を構築することができ、表現論への応用も見つかった。とはいえ、この新しい理論についてより深い結果を得ることや、より一般的な量子対称対へ拡張することなどの課題が残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたi結晶に関する結果は、実階数1の準分裂型量子対称対の直接計算に基づいているため、その手法をより一般的な量子対称対に適用することは困難である。そこで、そのような直接計算に依らない、より本質的な部分を明らかにすることで、i結晶の理論の拡張を目指す。
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Causes of Carryover |
3月末に参加を予定していた学会が急遽、オンライン開催となり、その分の旅費が支出されなかったため。次年度の学会旅費に充てる。
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