2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Langlands functoriality via an explicit local Langlands correspondence
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20K14287
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大井 雅雄 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (40868171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 局所Langlands対応 / Langlands関手性 / 正則超尖点表現 / 相対Langlands対応 / beyond endoscopy |
Outline of Annual Research Achievements |
局所Langlands対応によると,局所的なGalois表現(Lパラメータ)に関する線形代数的操作を一つ考える毎に,それに付随する操作がp進簡約群の表現にも定まるはずである.これが(局所)Langlands関手性と呼ばれる現象である.本研究の目的は,正則超尖点表現と呼ばれるクラスの表現に焦点をあてることで,Langlands関手性についてのいくつかの予想に取り組むことであった. 今年度は主に,正則超尖点表現の局所Langlands対応の,p進簡約群の自己同型の下での振る舞いを調べた.この動機は,endoscopyと呼ばれるLanglands関手性の最も基本的なケースを理解することにある.endoscopyの場合には,Lパラメータが関手的操作で得られることと,そのLパラメータがある自己同型によって不変であることが同値となる.したがって,p進簡約群の表現論サイドにおいても,群の自己同型に関する何らかの不変性に基づいて関手的操作が記述されると自然に期待される.ところが各Lパラメータに対応するp進簡約群の表現はただ一つとは限らず,一般には複数の表現が対応し得るため(この複数の表現からなる有限集合をLパケットという),この「何らかの不変性」が正確に意味するところはアプリオリには不明となる. 今年度得た結果は,このLパケットにおける不変性の正確な定式化と記述である.まずKaletha氏による正則超尖点表現に対する局所Langlands対応の構成法を精査することで,Lパラメータについての自己同型不変性と,対応するLパケットの有限集合としての自己同型不変性が同値であることを証明した.その上で更に,Lパケットの内部構造が自己同型でどう変化するかも調べた.特に,Lパケットに属する個々の表現がいつ一つの表現として不変になる(Lパケット内の固定点になる)かについての記述を得ることもできた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
元々は一年度目に,正則超尖点表現の関手的持ち上げがいつ正則超尖点表現となるかを詳しく考察する予定であった.そしてこれができれば,正則超尖点同士の対応の具体的な記述は自然に得られると考えていた.ところが実際には「研究実績の概要」でも述べたように,表現論サイドにはLパケットという非自明な有限集合の構造があり得るため,その内部構造の振る舞いも込めて具体的に記述する必要がある.今年度は正則超尖点表現が関手的持ち上げでまた正則超尖点表現となるという状況を仮定してLパケットの構造を調べたので,問題に対する理解度という観点からは研究は進展したものの,当初予定していた部分を直接的に掘り下げることはできなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは一年目に考察しきれなかった,正則超尖点表現の関手的持ち上げがいつ再び正則超尖点になるか,という問題の研究を完遂させる予定である.一般線型群と古典群というペアからなる関手的持ち上げ(twisted endoscopy)の場合には,既に知られている局所Langlands対応のいくつかの性質を組み合わせることで比較的簡単に理解ができると考えているので,そこから考察を始めるつもりである. 一方でそれと並行して,相対的局所Langlands対応やbeyond endoscopyに関する情報収集も行う予定である.特に正則超尖点表現の場合に何が知られているかという観点から,現時点で知られている最先端の結果を理解し,上述の持ち上げの研究と併せて今後の研究の地盤を固めようと考えている.
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Causes of Carryover |
今年度は予定していた海外出張や研究者の招聘,ワークショップの開催等がコロナウイルスの影響によって全て中止になったため,予定していた額の使用は全くできなくなった.これら今年度にできなかったことは,次年度に機会を見つけられ次第すぐにでも決行したいと考えているので,今年度使用できなかった額はそのまま当初通りの用途として次年度使用額にあてたい.
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Research Products
(7 results)