2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Langlands functoriality via an explicit local Langlands correspondence
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20K14287
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大井 雅雄 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (40868171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 局所Langlands対応 / Langlands関手性 / 正則超尖点表現 / 相対Langlands対応 / beyond endoscopy / Swan導手 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまずLanglands関手性の振る舞いを二次外積および二次対称積の場合にGalois側で考察した.その結果,特殊な超尖点表現に対してではあるが,Swan導手という不変量がこれらの関手性の下でどう変化するかについての明示的な公式を得ることができた.更にこの公式を応用することで,p進斜交群の「単純超尖点表現」と呼ばれる超尖点表現に対する局所Langlands対応を具体的に記述するという結果も得られた.これらの結果は既に論文としてまとめて雑誌に投稿済みであり,いくつかのセミナーや学会などでも発表を行っている.この問題から派生して,p進直交群の場合にも単純超尖点表現の局所Langlands対応を記述するという問題に取り組み,斜交群の場合と同様の結果を得ることができた.こちらの結果についての論文はほとんど書き上がってはいるものの,年度内には完成させることができなかった. また,以上の研究を進める中で,Swan導手の二次外積・対称積での振る舞いは,素数pが2の時に特に難しくなるということが分かってきた.Swan導手についての具体的な不等式を予想として立てることができ,その根拠と言えるだけの豊富な例を計算することもできたのだが,証明を与えるには至れなかった.このケースは正則超尖点表現の枠組みには含まれておらず,当初予定していた研究計画の範疇外にあるとは言えるが,大変興味深い現象であるため,残りの研究期間ではこの方向性の研究も進めていきたいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画で予定していた正則超尖点表現の関手的持ち上げの記述については,今年度も決定的な結果を得ることはできなかった.しかし今年度得られたSwan導手に関する公式は,正則超尖点表現の関手的持ち上げが予想よりもはるかに複雑になり得ることを示唆している.当初の予定通りの成果をあげられていないという点で現時点での進捗状況は遅れていると考えており,一方で予期しなかった興味深い結果が得られ問題の奥深さも分かってきたという点で理解は前進していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き,まずは二次外積・対称積の場合に正則超尖点表現の関手的持ち上げの決定を目指す.今年度得られた結果によると,この持ち上げの記述は一般には非常に複雑になるが,次元が素数の場合には簡明になることが期待される.そこでまずは素数次元の場合の網羅的な計算から始める予定である. また,当初その延長上として予定していた相対局所Langlands対応およびbeyond endoscopyについての研究については,近年急速に進展している分野であることも鑑みるに,まずは一旦落ち着いて情報収集を進めることが重要だと考えている.情勢的には出張や招聘が可能になってきたので,積極的に国内外への出張に赴いたり関連分野の研究者を招聘したりして,情報収集・討論を行いたい.
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Causes of Carryover |
今年度はようやく出張や招聘が情勢的に可能となってきたが,とは言えまだ制限が完全になくなったわけではなく,様子を見ながらの動きをする必要があった.たとえば当初は共同研究者を長期にわたって招聘する計画もあったのだが,それは次年度に見送ることになった.今年度研究費を使用しなかった分の予定は,中止になったわけではなく,次年度に延期となっただけなので,次年度使用額分の研究費はそこに用いるつもりである.
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