2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K14292
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松坂 俊輝 名古屋大学, 高等研究院(多元), 特任助教 (60868157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モックモジュラー形式 / サイクル積分 / Rademacher記号 / モジュラー結び目 / 量子不変量 / 多重Bernoulli数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は5本の論文執筆を行なった.まず,RIMS講究録別冊からの出版が決まった単著論文では,モックモジュラー形式の歴史についてサーベイを行っている.2022年度は延期されていたモックテータ関数の勉強会(八王子数論セミナー)の開催も控えているため,その補助資料としての役割も期待している. 次に昨年度から植木と共同で行っていた「三角群に対するモジュラー結び目とRademacher記号」に関する研究については,いくつかの点において改良を行った上で成果を論文としてまとめ,現在投稿中である.また関連して,寺嶋と共同でWRT不変量と呼ばれる3次元多様体の量子不変量について研究を行った.ここでも適切にモックモジュラー形式の理論(厳密にはフォルステータ関数の理論)を採用することで,WRT不変量(WRT関数)の保型形式的な振る舞いを記述することに成功している.またその系として,WRT不変量に対して予想されていた漸近展開予想について,特別な場合に別証明を与えている. その他の研究として,Benyiらと行った一連の共同研究では,「多重Bernoulli数の組合せ的解釈」について考察を行っている.従来の多重Bernoulli数と組合せ論との関係は,ある種偶然見出されることがほとんどであり,単なる面白い現象としての側面が強かった.今回の研究では,この課題に組織的に取り組むことで,多重Bernoulli数の組合せ的解釈を一挙に複数見出すことに成功しており,様々な応用も得られている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,昨年度から継続している幾つかの研究について,論文の形で発表することができた.また多くの研究集会やセミナーがZoom等オンラインで開催されるようになったことで,これまではあまり縁がなかった結び目や低次元トポロジーの集会にも気軽にかつ積極的に参加できるようになった.これにより複数の研究者と議論を始めることができ,モックモジュラー形式の理論の新たな可能性について研究の展望を具体化することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
Zoomを用いた議論は継続しつつ,対面での研究集会の参加や研究者の招聘も徐々に取り入れていく.また2022年度から所属が九州大学へと変わったこともあり,これまで以上に多くの関連研究者と頻繁に議論ができる環境になった.より活発に研究セミナーを行うことで,研究の推進力を上げていくつもりである.具体的には,モジュラー結び目の不変量や,モジュラー形式の観点から見た量子不変量の研究についても,研究範囲を広げていきたい.
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Causes of Carryover |
主な理由としては,昨年度と同様ではあるが,新型コロナウイルスの影響で当初予定していた出張計画が実現できなかったことにある.2022年度に入り少しずつではあるが対面形式での研究集会やセミナーの開催も可能になってきているため,次年度使用額も併せて,より積極的に出張や外部研究者の招聘を行う予定である.
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Research Products
(22 results)