2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K14292
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松坂 俊輝 九州大学, 数理学研究院, 助教 (60868157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モックモジュラー形式 / モジュラー結び目 / Rademacher記号 / 偽テータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新たに6件の論文を執筆し,プレプリントとして公開した.まず代数体に対して定義される数論的Dijkgraaf-Witten不変量について,特別な実二次体の場合にグラフを用いた非常に明快な明示公式を与え,さらにある種の密度公式を与えることに成功した (with Y. Deng and R. Kurimaru, Res. Number Theory, 2023).その他,円分多項式のx=1におけるTaylor係数に関する予想の解決,Gobel数列に関する研究,多重ゼータ関数や有限多重ゼータ値の視点から捉えるGregory係数の研究など,様々な結果を得ており,これらの独立した結果の間にある関係性や,これらを融合するような研究の可能性を探っている.
研究期間全体を通して得られた,当初想定していた課題に対する成果は以下のとおりである:1. モジュラーj関数のサイクル積分を双曲型Eisenstein級数のFourier係数として自然に実現し,さらに均質化サイクル積分という拡張概念を導入することで,モジュラー結び目への応用を与えた (Math. Ann., 2024);2. 重さ2のEisenstein級数のサイクル積分として特徴付けられるRademacher記号を三角群の場合に一般化し,モジュラー結び目と三葉結び目の絡み数に関するGhysの結果を一般のトーラス結び目の場合に拡張した (with J. Ueki, Res. Math. Sci., 2023).また当初の想定を超えて得られた結果として,3. モックテータ関数の類似である偽テータ関数の量子不変量への応用も得られている (with Y. Terashima, Comm. Math. Phys., 2024).これらのサイクル積分やモックモジュラー形式の結果は,国内外の研究集会で多数講演を行い,さらなる研究へと進行中である.
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