2020 Fiscal Year Research-status Report
Algebraic and arithmetic dynamics, Diophantine Geometry, and related topics
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20K14300
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
佐野 薫 同志社大学, 理工学部, 助教 (60867563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数論的力学系 / 代数力学系 / Diophantus 幾何 / 高さ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
柴田崇広氏との共同研究により "Zariski density of points with maximal arithmetic degree" および "Zariski density of points with maximal arithmetic degree for surfaces" の2本の論文を執筆した。前者についてはMichigan Math. J.に掲載予定、後者についてはRIMS 講究録別冊に投稿中である。またこれらの論文の内容について、Friday Tea Time Zoom Seminar, 代数的整数論とその周辺, 多変数関数論冬セミナー, Joint Mathematics Meetings AMS Special Session on Current Trends in Arithmetic Dynamics I にて講演を行い、分野の普及に貢献した。 今回の研究により、どのような射影多様体の自己射についても、算術次数が最大となるような点が豊富に存在することが明らかとなった。また、潜在的に稠密な有理点を持つ多様体の場合には、基礎体を十分大きく有限次拡大をすることで、その上ですでに最大算術次数を持つ点が存在すると予想されるが、実際にアーベル多様体、単有理多様体、射影曲面の場合にはこの予想が正しいことも確認できた。 小さな算術次数を持つ点が代数体上ではZariski閉集合に含まれてしまうという、small Arithmetic Degree Conjecture (以下、sAND)と呼ばれる予想がある。研究の目的として述べていた課題と今回の研究はいずれもsANDから従うという共通点がある。また、今回の研究はsANDに対する一つの状況証拠を与えたという意義があり、研究目的への貢献が見込まれる。 今後は射影多様体に限らずアフィン多様体の自己射に対しても最大算術次数を持つ点の分布について調べ、研究目的を完遂する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、アメリカのBrown Universityへ訪問し、局所高さについての研究打ち合わせをSilverman教授、Looper博士、松澤博士と行う予定をしていたが、新型コロナウイルスの影響でその実行が困難となり、スムーズなやりとりが行えなかった。一方で2本の論文を執筆するに至ったのは同分野の研究者とのオンラインでの連携はうまく取れたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の段階では海外への渡航を複数予定していたが、次年度以降も新型コロナウイルスの影響がおさまらず海外渡航や国内の出張は困難であることが予想される。従ってオンラインの研究発表の場などを通して、同分野の研究者との交流、情報交換、情報収集を継続して行い、本研究を進めていく。またそうした活動を積極的に行うため、自身でもオンラインの研究集会を開くなどしていく。
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Causes of Carryover |
科研費を利用しての海外渡航を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により一切行えなかった。 本研究と関連する分野の研究についてのオンライン研究集会を2月末に開き、その諸経費および講演者への謝金として充てる。また、関連図書や関連研究論文の購入に充てる。
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