2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K14303
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 謙太 九州大学, 数理学研究院, 助教 (10849326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Boundedness / weak Fano / Seshadri定数 / 極小モデル理論 / 正標数 |
Outline of Annual Research Achievements |
正標数の射影代数多様体に関する種々の一様有界性を解明することを目標に,局所大域双方の視点から研究を行っている. 今年度私は, いくつかの仮定を満たす正標数の3次元Fano多様体の族が有界であることを証明した. その証明の鍵となったのは, Seshadri定数と呼ばれる不変量の一様的な下限の存在である. Seshadri定数とは, 与えられた豊富な因子の正値性を数値的に測る量であり, その値が十分に大きい場合には, この因子を用いて多様体を双有理変形できることが知られている. 特にFano多様体の反標準因子のSeshadri定数を下から評価することで, もっと有界性を示しやすい多様体に変形することができる. 標数0においては, Ein-K\"{u}chle-Lazarsfeldらによって, 豊富な因子のSeshadri定数は常に多様体の次元の逆数で下から抑えられることが知られていた. しかし, 正標数において彼らの手法はまったく通用せず, 2次元の場合ですら未解決だった. 私は2次元及び3次元の場合に, いくつかの仮定のもとでSeshadri定数の下限を与えることに成功した. 上述したように, この下限の存在を用いると, Fano多様体の族が「双有理有界」, すなわち, 各多様体を双有理同値で取り換えられると有界であることが示される. 最後に, 双有理で取り換えた部分を考慮する必要があるが, これは近年示された不完全体上の3次元極小モデル理論を使うことで解決した. これらの結果をまとめてプレプリントとして発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では, 正標数のFano多様体の有界性を解明することを最終目標とし研究を行っている. この問題は特異点つきの場合に関しては, 3次元の場合ですらほとんど何もわかっていなかった. 今年度得られた結果は, いくつかの仮定は必要とするものの, 特異点付きの3次元Fano多様体の有界性を示しており, この問題に関する大きな前進であったと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず, 今年度の結果で課したいくつかの仮定を弱めることができないか調べていきたい. 次に, 証明において重要な役割を果たしたSeshadri定数の下限に関しても引き続き研究していきたい.
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Causes of Carryover |
COVID19により昨年度までの出張が少なかった分を来年度に繰り越す. 国内出張の旅費等に使用する予定である。
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